女子ハンマー投げ決勝で、弘前実(青森)出身の九州共立大・村上来花(2年)が大会新記録の64メートル03で2連覇を決めた。自身の持つ日本学生記録65メートル33の更新はならずも、2位に4メートル85差をつける快勝。同じ投てき種目の女子やり投げで今夏世界選手権を制した北口榛花(25=JAL)のように、世界基準の選手を目指す。

   ◇   ◇   ◇

村上の会心の笑みがはじけた。2投目。サークル内で勢いよく回転し、手応え十分の大きな放物線を描いた。自身が前回大会で樹立した大会記録62メートル72を上回る64メートル03のビッグスロー。再び新記録を打ち立てた。「自己ベストが更新できなかったのが一番悔しいんですけど、(大会)記録を残せたというのと、64メートルが出たのは良かったと思います」。大声援を送ってくれた仲間に向かって両腕を突き上げ、喜びを表現した。

1投目で59メートル41、2投目で大会新と上々の滑り出しも、3~6投目はいずれもファウルで競技終了。それでも「すごく自己ベストが出そうな投げだった」と悲観する内容ではなかった。

昨年8月のU20世界選手権で3位、今年7月のアジア選手権で3位と国際大会でも実績を残してきた。日本では世代トップだが「海外になるとやっぱり全然下で、差がすごい大きい」。世界大会の雰囲気や世界との距離を測れたのは収穫だったという。

同じ投てき種目のやり投げで世界選手権優勝を飾った北口から大きな刺激を受けた。「日本人で世界のトップの試合で勝つのは、投てきではあり得ないようなことだった。トップに立たないと分からないことがあると思うし、それに打ち勝てるようなものを持っていて、すごく尊敬します」。北口のように世界と互角に渡り合える存在を目指す。「自分も国際大会で活躍していける選手になりたいです」と力を込めた。

今季は10月の鹿児島国体など3試合に出場する予定だ。直近の目標は自己ベスト65メートル33の更新で「そろそろ出したいなという気持ちがあります」。その先には日本記録69メートル89がある。「まだまだ全然見えない数字ですけど、日本記録を目標にこれから頑張っていきたいです」。近未来の投てき種目を担う青森の逸材が、さらなる高みへ突き進む。【山田愛斗】