陸上の男子400メートル日本記録保持者の佐藤拳太郎(28=富士通)が、杭州アジア大会(中国)での記録更新を見据えた。

26日、羽田空港で取材対応。男子主将を務める佐藤は8月の世界選手権(ハンガリー・ブダペスト)で44秒77の日本新記録を打ち立てたが「現時点でのパフォーマンスでも44秒50は見られると思っている。しっかりそれに近づけられるようにしたい」と新記録樹立へ意欲を燃やした。

4度目の世界選手権となった今夏のブダペスト大会では、予選で日本新をマーク。高野進による従来の日本記録(44秒78)を32年ぶりに更新した。ただ、当の本人は「44秒77が最大値だったかといえばそうではない。まだまだ修正点がある中での記録」と控えめに振り返る。

力の差を感じたのは、前半200メートルでのスピード。今月24日の全日本実業団対抗選手権(岐阜)で200メートルに出場後も「世界のトップランナーたちは200メートルで19秒台に乗せてくる」と強調していたように、前半の走力を課題に挙げる。

その上でアジア大会の400メートルでは、低い姿勢での走りに重きを置く。「(これまでは)肩や状態が上がってしまって、うまく加速につなげられず、トップスピードに乗らない状態だった。とにかく浮かないことを念頭に置いて、レースを進められればと思います」と修正を繰り返していく。

思い描くのは勝ち切るレース。7月のアジア選手権に続き、優勝を目指す。

「世界で活躍するのはナショナル(自国)で勝って、エリアで勝って、そして世界選手権や五輪で勝つ選手たち。私はその域には達していない。アジアのタイトルを1つ取ったくらいでは満足できない」

準決勝敗退となったブダペスト大会を終え、一段と強まった覚悟。来夏のパリ五輪での決勝進出へ向け、実りの秋とする。【藤塚大輔】