<9月前半の陸上競技展望>

 国内では約2カ月間の秋シーズンが開幕。日本学生対校がその第1戦となり、モスクワ世界陸上代表も多数出場する。海外ではダイヤモンドリーグの最終戦ブリュッセル大会が行われ、世界陸上のメダリストたちが再び相まみえる。

 学生選手で今、一番勢いがあるのが男子棒高跳びの山本聖途(21=中京大)だ。世界陸上では跳躍種目で過去最高順位となる6位に入賞。国際舞台で5メートル75の学生タイ記録を跳んだことは高く評価された。5メートル83の日本記録更新の可能性も十分ある。

 もう1人、学生で世界陸上に入賞したのが男子20キロ競歩6位の西塔拓己(20=東洋大)である。日本学生対校の競歩種目は1万メートルで距離が短い。日本記録は39分07秒84でスピードが要求されるが、西塔は“攻めの姿勢”が身上の選手。日本新にも積極的に挑戦するだろう。

 やはり6位に入賞した男子4×100メートルリレーのアンカーを走った飯塚翔太(22=中大)は、世界陸上で準決勝まで進出した200メートルにエントリーしなかった。100メートルと4×100メートルリレー、4×400メートルリレーの3種目に出場する。

 世界陸上の100メートル予選で故障した山県亮太(21=慶大)は、4×100メートルリレーは欠場。今大会は100メートルと200メートルにエントリーした。100メートルで日本人初の9秒台が期待されている選手だが、故障明けでもあり、記録よりも対校得点を積み上げることが目標か。

 投てきでは男子やり投げのディーン元気(21=早大)と男子円盤投げの堤雄司(23=国士大)が注目選手。ともに学生記録を持つ。ディーンは昨年のロンドン五輪で10位と健闘したが、今季前半は不調でモスクワ世界陸上代表にも入れなかった。どこまで復調しているか。

 堤は4月に58メートル84と自身の学生記録を更新。風の影響を大きく受ける種目なので気象条件次第だが、五輪種目で最古の日本記録である60メートル22の更新に挑戦する。

 また、男子5000メートルと1万メートルには学生駅伝で活躍が期待できる選手が多数登場する。世界陸上にも出場した大迫傑(22=早大)と設楽啓太(21=東洋大)は5000メートルに、村山謙太(20=駒大)と西池和人(20=法大)は1万メートルにエントリーしている。

 5月から行われてきたダイヤモンドリーグはブリュッセル大会が最終戦。すでに29日のチューリッヒ大会で17種目の年間チャンピオンが決定した。ブリュッセルでは残りの16種目のツアーチャンピオンが決まる。

 200メートルでウサイン・ボルト(27=ジャマイカ)が勝てば、昨年の100メートルに続く年間優勝者になる。年度は異なっても2種目でツアーチャンピオンになれば、男子では初の快挙である。【9月前半の主な陸上競技大会】9月6日〜8日:日本学生対校(東京・国立競技場)9月6日:ダイヤモンドリーグ・ブリュッセル大会(ベルギー)