仙台市生まれの本郷理華(21=邦和スポーツランド)は約11年前の06年3月、トリノ五輪金メダリスト荒川静香さんの凱旋(がいせん)パレードで、一緒にオープンカーに乗った。「あれで五輪への思いがより強くなりました」。あの歓喜の中で夢見た五輪出場へ。「かなえるチャンスがきた。できることを精いっぱいやって、出られるようにしたい」と意気込む。

 2季前の16年世界選手権では会心の演技で自己ベストで8位入賞。だが、五輪プレシーズンを前にした昨夏、左くるぶしを痛めた。疲労骨折手前の状態が続き調子は上がらなかった。4位に終わった今年2月の冬季アジア大会では「去年と同じ気持ちでジャンプを跳んでいるが、うまくいかない。理由は自分でも分からない」と涙を流した。

 巻き返しを狙う今季、思いきってジャンプの技術を見直した。「けががあり、悪い癖で無駄な力が入っていた。今まで出来ていたものじゃなくて、今の自分にあったものを見つけようと思った」。5月の合宿では小学校低学年の選手と一緒に半回転から練習し、ジャンプの感覚を確認した。

 浮上の兆しはある。9月、今季海外初戦のオンドレイネペラ杯で2位。「海外の試合で表彰台に久々に上がれて、うれしかった」と自信を取り戻した。今季のフリーでは、波瀾(はらん)万丈の人生を生きたメキシコの女性画家フリーダ・カーロの物語を演じる。1つのプログラムの中で、フリーダが交通事故に遭い、画家を目指し、流産し、それでも絵を描き続けて「すべてを出し切って後悔なく」(本郷)生をまっとうした姿を表現する。

 「困難を乗り越えた、強い女性を演じられたらと思います」。苦しい思い、それでも辛抱強く練習してきた自分の経験を、演技に込める。【高場泉穂】

 ◆本郷理華(ほんごう・りか)1996年(平8)9月6日、仙台市生まれ。5歳からスケートを始め、9歳で名古屋へ拠点を移す。シニアデビューの14年全日本選手権2位。世界選手権は15年6位、16年8位、17年16位。166センチ。

本郷理華のデータ
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