名将の後を引き継ぐのはたやすいことではない。関西学生アメリカンフットボールで、昨年の学生王者関学大は大村和輝新監督(48)体制をスタートさせた。

28年間で12度の学生日本一に導いた鳥内秀晃前監督(61)が昨季で勇退。周囲のプレッシャーもあるだろうが、大村監督は「エベレストを目指した練習をすれば必然的に強くなる」と淡々とした口調で語る。

指揮官が注視しているのは学生たちの意識面だ。

「現状の自分たちがあって、ゴールがあって、そこを登っていかないといけないが、そこがずれていることが多い。僕らはエベレスト登山を目指しているが、学生は富士山レベル。もっとレベルが低い子は六甲山レベル。こっちの子は六甲山目指してがんばってます。こっちの子は富士山目指しています。これでは話が合わないですよね。これをエベレストに統一できたら強くなってくる」

読書が趣味というだけあって、わかりやすい例えで説明した。

新主将にはRB鶴留輝斗(つるとめ・きらと、3年)が選ばれた。指揮官は「真面目な子」と評価しつつも「リーダーは人に影響を与えなきゃいけないので。地道に(チームメートを)引きずり上げていって、自分の仲間を作っていってほしい」とさらなる成長を期待している。

鶴留の目標は3年連続の甲子園ボウル優勝。新キャプテンは「(自分で)言ったことはやるし、やらせる。他人任せにしない。(個々人が)俺がやるというチームにしたい。日本一になる」と力を込めた。

鳥内前監督から大村監督へ。まだ、新チームは始まったばかりだが、共に「エベレストの頂(いただき)」を目指す選手が生まれ、新しい時代の名門の姿を見せてほしいと感じた。【南谷竜則】(ニッカンスポーツ・コム/スポーツコラム「We Love Sports」)