東京マラソン(3月6日、東京都庁~東京駅前・行幸通り=42・195キロ)は世界の一流選手が集った。男子は2時間1分39秒の世界記録を持つエリウド・キプチョゲ(37=ケニア)が、2時間2分40秒で優勝した。女子も2時間14分4秒の世界記録を持つブリジッド・コスゲイ(28=ケニア)が2時間16分2秒で制した。ともに大会新記録だった。

日本勢に目を向けると鈴木健吾(26=富士通)が2時間5分28秒で4位。妻で女子日本歴代4位の記録を持つ一山麻緒(24=ワコール)が2時間21分2秒の6位でゴールした。夫婦で日本人トップに立った。

東京マラソンは、世界最高峰シリーズの「ワールド・マラソン・メジャーズ(WMM)」で、日本国内最大の賞金レースと知られる。起伏の少ない高速コースもあって、海外の一流どころの選手がそろうことでも知られる。

今回、選手たちはどれだけの賞金を手にしたのだろうか。お金にフォーカスした。

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<賞金>優勝1100万円、2位400万円、3位200万円、4位100万円、5位75万円、6位50万円、7位40万円、8位30万円、9位20万円、10位10万円(※男女総額4050万円)

<記録ボーナス>世界記録3000万円、日本記録500万円、大会記録300万円(※男女総額7600万円準備)

<車いす部門>賞金総額928万円。それに加え記録ボーナス総額340万、大会記録更新スプリットタイムボーナス総額60万円

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キプチョゲは本気で世界記録に挑んだ。途中でペースメーカーが遅いと感じると、前へ出てレースを引っ張ったほどだ。結果、世界記録は手にできなかったが、優勝1100万円と大会記録の300万円で合計1400万円を手にした。女子のコスゲイも同額となった。

捕らぬタヌキの皮算用だが、両選手が仮に世界記録を更新していれば、この大会だけで1400万円+3000万円で4400万円をつかんでいた。ちなみに世界最高賞金のドバイ・マラソンだと、優勝賞金20万ドル(2300万円)、世界記録更新なら25万ドル(2825万円)のボーナスが準備されている(※1ドル115円で換算)。キプチョゲはドバイ制覇にも意欲を示しており、ここで世界記録更新なら5125万円が入る計算だ。

そして夫婦ギネス記録で注目された鈴木と一山は、鈴木が4位で100万円。自身の持つ日本記録更新となれば、500万円が入っていたが、そこは32秒及ばず惜しくも逃した。一方の一山は6位で50万円。夫婦で合計150万をこの日、稼いだことになる。

また、13年ぶりにマラソンを走った新谷仁美(34=積水化学)は、自己ベストとなる2時間21分17秒で7位に入り、40万円をゲットした。ただ、レース後に「2度と走りたくない。みんなよくマラソンを好きでやっているな。もう嫌」と笑った。

新谷の言葉を借りるなら、マラソンの苦労は「プライスレス」なのかもしれない。【佐藤隆志】