3連覇が現実味を帯びてきた。

バレーボール男子Vリーグ1部(V1)のサントリーサンバーズが、Vレギュラーラウンド(RR)上位4チームの総当たり戦が展開されるプレーオフ「ファイナル4」に参戦。4月8、9日に京都市内の島津アリーナ京都で行われた2試合で勝利を収め、一番乗りで上位2チームが争う「ファイナル」進出を決めた。

第1日のRR3位パナソニックパンサーズ戦は、初戦から白熱した試合となった。

2000人を超える観客が見守る中、ゲーム開始。

第1セット(S)は、両者主導権を譲らず、いきなりジュースに突入。それでも、最後はオポジットのドミトリー・ムセルスキー(34)が強烈なスパイクで先取に成功する。

第2S、第3Sは落としたものの、第4Sから流れを取り戻して連取。第4Sで相手に負傷者が出るアクシデントが起こったが、動転する気を抑えてプレーし、セットカウント3-2で勝利を収めた。

翌日行われた2戦目の相手は、RR1位のウルフドッグス名古屋。初日の堺ブレイザーズ戦でストレート勝利を収め、ノリにノっているチームだった。

「タフな試合になる」。山村宏太監督(42)が展望したように、またしても接戦で第5Sまでもつれこんだ。それでも、31-29、22-25、23-25、25-22、15-9で勝利。レベルの高い好ゲームを繰り広げ、相手エーススパイカーに「いいパフォーマンスはできたけど、相手はさらにそれを上回っていた。(サントリーに)おめでとうと言いたい」と言わしめた。

唯一2勝を挙げたサントリー。2日連続で約2時間30分に及ぶ激戦を戦い、憔悴(しょうすい)した様子の選手だったが、みな口をそろえて「勝ち切れて良かった」と勝利を喜んだ。

サントリーは、RRでもフルセットにもつれる試合が多かった。RRでパナソニックから挙げた白星2つも、いずれも3-2での勝利。名古屋戦でも、ストレート勝利はなかった。

死闘に次ぐ死闘。キャプテンを務めるセッター大宅真樹(27)は、2試合を終えて「巻き返せる力はうちの強み」と胸を張る。

加えて、個人としてもメンタル面での成長を実感した。

9日の名古屋戦第5Sは自身のサーブミスからの幕開けで「このセットを落としたら自分のせい」と追い込まれた。それでも「他のプレーで取り返そうじゃないけど、弱気にならなかった」。重圧の中でつかんだ勝利は、大宅に自信をもたらした。

上位2チームが頂点を争う「ファイナル」進出は決まった。あとは、相手が名古屋か、パナソニックかだけだ。ファイナル4の舞台でつけた自信を3連覇につなげられるかは、23日に東京・国立競技場で行われる決勝戦にかかっている。


◆竹本穂乃加(たけもと・ほのか)1999年(平11)9月8日、大阪・泉大津市生まれ。明治大卒。22年4月に日刊スポーツ大阪本社へ入社し、5月に報道部配属。スポーツや芸能を取材。

ポイントを奪いガッツポーズするサントリーのムセルスキー(撮影・竹本穂乃加)
ポイントを奪いガッツポーズするサントリーのムセルスキー(撮影・竹本穂乃加)
勝利して喜ぶサントリーの選手(撮影・竹本穂乃加)=2023年4月8日
勝利して喜ぶサントリーの選手(撮影・竹本穂乃加)=2023年4月8日
名古屋戦で強烈なスパイクを放つサントリーのムセルスキー(撮影・竹本穂乃加)
名古屋戦で強烈なスパイクを放つサントリーのムセルスキー(撮影・竹本穂乃加)
スパイクを打つムセルスキー・ドミトリー(中央)(撮影・竹本穂乃加)=2023年4月8日
スパイクを打つムセルスキー・ドミトリー(中央)(撮影・竹本穂乃加)=2023年4月8日
出場したリベロ藤中颯志(右)(撮影・竹本穂乃加)=2023年4月8日
出場したリベロ藤中颯志(右)(撮影・竹本穂乃加)=2023年4月8日