<第85回箱根駅伝>◇2日◇往路◇東京-箱根(5区間108キロ)

 山梨学院大のメクボ・モグス(4年)が「花の2区」で、史上3人目となる2年連続区間新をマークした。4位でタスキを受け、1・7キロすぎで明大、2キロ付近で早大を抜いて首位に浮上。その後の21キロ余りは一人旅を続け、昨年の自身の記録を19秒更新する1時間6分4秒でゴールした。連続区間新は、84年ロサンゼルス五輪男子マラソン代表の瀬古利彦氏以来、29年ぶり。2区で3度の区間賞は史上最多タイで、89~91年の山梨学院大オツオリに次ぐ2人目の快挙だ。

 ゴール約1キロ手前には、母タビタさんの「ジャリーブ(頑張れ)」という母国ケニア語の声援を力に変えた。1度もレース観戦がないどころか、飛行機に乗ったこともない母を昨秋にパスポートをつくって呼んだだけに、ぶざまな走りはできなかった。さらに昨年11月末、兄ヘンネリさん(享年38)がマラリアで急死。「天国から見ていたはず」と、レース前に天に祈って区間新を約束していた。

 昨夏からの右ふくらはぎ痛もあり、心身共に万全ではない中での快走だった。今春から実業団アイデムに進むが、従来通り山梨学院大で練習。年内のマラソンデビューを目指す。「ロンドン五輪で(北京五輪マラソン金メダルの)ワンジルと金メダルを争いたい」。金字塔を打ち立て、モグスの4年間が幕を閉じた。【高田文太】