<高校総体:みちのく発>

 競泳選手は2つの顔を持つ。代表選考会にJSS毛呂山の選手として出場した瀬戸は、この日は埼玉栄の水泳部員だった。能美SCで世界選手権に出場した小堀は、金沢の400メートルリレー第1泳者を務めた。日大豊山や豊川などは基本的に水泳部として活動しているが、多くの高校生はスイミングクラブ(SC)所属。普段はクラブで練習し、総体には高校で出場する。

 競泳ニッポンの復活は、SCの力によるところが大きい。しかし、SC所属では高校総体や中学大会など学校単位の大会には出られない。そこで生まれたのが「二重登録」。選手は学校水泳部とSCの2つの団体で登録し、大会によって所属を変えて出場する。

 瀬戸は「学校の仲間と泳げるのは楽しい」という。小堀も「学校のために泳ぎたいから」と話す。リレー種目の盛り上がりは、学校単位で戦えばこそだ。中京大監督の高橋繁浩氏は「かつてはSCの選手が学校で泳いでないことを理由にインターハイに出られないなどの問題もあったが、今は学校とSCはいい関係にあると思う」と言う。日本独特の文化である学校体育と近年増え続けるクラブスポーツ。プールでは、理想的に共存している。【荻島弘一】