<全国高校総体:レスリング>◇5日◇神奈川・横須賀市総合体育館

 男子120キロ級で、飛龍(静岡)の山本泰輝(3年)が初優勝を飾った。準決勝まで、すべてテクニカルフォールで勝ち上がると、決勝では花咲徳栄(埼玉)の山本泰丈(3年)と激突。残り45秒でバックを取ってポイントを稼ぎ、逆転の判定勝ちをおさめた。これで昨秋の国体、今春の全国選抜に続く3冠に輝き、最重量級の高校日本一を証明した。

 僅差の逆転Vだった。決勝は、国体と全国選抜のファイナルと同じ顔合わせ。山本は得意のタックルを研究されていた。残り1分までリードを許した。それでも残り45秒で相手のタックルをかわし、バックを取ってポイントを奪取。そのまま逃げ切り、優勝した。今大会は勝ち方にこだわっていた山本は「思うような試合ができなかった」。高いレベルを意識する最重量級王者は、決して満足していなかった。

 重圧があった。国体と全国選抜で優勝すると、4月には大学生を含む20歳以下のJOC全日本ジュニアも制した。6年後の東京五輪ピックアップ選手にも選出。5月には全日本合宿に参加できた。大会直前、練習中に右肘を負傷。本調子ではない中で、最後は意地を見せた。井村陽三監督(50)も「勝って当たり前の雰囲気だった」と、愛弟子の心境を代弁した。

 将来の重量級を担う逸材として期待される。9月に開かれるアジア大会(韓国)には、日本代表120キロ級・荒木田進謙(24)の練習パートナーとして参加する見通し。来春は強豪・拓大に進学する予定だ。「今のままではオリンピックにも出場できないレベル。研究されてもしっかり勝てるようにもっと練習していきたい」。山本は、最後まで貪欲だった。【神谷亮磨】

 ◆山本泰輝(やまもと・たいき)1996年10月18日、富士市生まれ。幼稚園からレスリングを始め、小5から沼津レスリングクラブに所属。中学3年で全国選手権に優勝。昨年は全国総体8強。家族は両親と弟。180センチ、105キロ。血液型はA。