1964年東京、68年メキシコ両五輪の重量挙げフェザー級金メダリスト、三宅義信氏(75)が14日、フィンランド・ロバニエミで開かれた世界マスターズ選手権で、43年ぶりの国際大会復帰を果たした。「2020年東京五輪を盛り上げるために、80歳まで頑張る」と意気込むように、75~79歳部門の56キロ級でトータル101キロを挙げて見事銀メダルに輝いた。

 4位だった72年ミュンヘン五輪以来のカムバックは満身創痍(そうい)の戦いだった。4年前の膵臓(すいぞう)疾患で体力が落ち、ことし5月の全日本マスターズ選手権後にも胃がんの内視鏡手術で入院。練習を再開しようとした矢先には、肩に痛みが出たという。

 現地入りしてからも痛みは引かず、ほぼぶっつけ本番。スナッチの45キロを2度失敗して追い込まれたが、勝負強さは健在で3度目に鮮やかに成功した。ジャークは55キロ、56キロを続けて持ち上げ「練習不足でタイミングが合わなかった。来年のワールドカップでは金メダルといきたいね」と笑顔を見せた。

 一人だけトナカイの毛皮を贈られるなど「世界のミヤケ」は今も特別な存在。コーチとして参加したメキシコ五輪バンタム級王者のモハメド・ナシリ氏(イラン)は「三宅は偉大なリフター。彼のような選手が出場すれば東京五輪も盛り上がる」と再会を喜んだ。