初出場の東北(宮城)が、初陣を飾った。持ち味の走るバスケットで、長崎西に競り勝ち2回戦に進出した。3連覇を狙う同じ宮城の明成をお手本にして、全国舞台で実力を発揮した。

 クリスマスイブに最高のプレゼントだ。実質的な指揮を執る畑田公義コーチ(44)が実感を込めた。「すべての面で向こうが上なので。すごくうれしいです」。動きの硬かった第1クオーター(Q)が一転、第2Qから走るバスケットにエンジンがかかった。過去8強入りの実績のある長崎西との点の取り合いにも、集中力を切らさなかった。

 明成をお手本にしてきた。畑田コーチは県内の対戦などで「日本一のチームが基本をおろそかにしない」と感じ取った。リバウンドやルーズボールを確実に奪う技術はもちろん、あいさつなど礼儀もしっかりしているという。実力的には遠く及ばなくても、選手の人間育成でも参考になった。

 明成が今夏の全国総体に初優勝。東北は県大会で決勝に進出した時点で、今大会の出場権を獲得した。得点源の前田怜緒(3年)は「明成が勝って最後のチャンスだと思った」と言う。本来なら県2位では出場できないが、運を生かして全国舞台に乗り込んできた。

 先発5人の最長身は187センチの前田。全国レベルではサイズが小さいため、現チームは走ることにこだわってきた。平日の練習は午後4時から2時間走りっ放しで、午後6時からコートに立つ。「走るバスケットが最後まで出来た」と前田が胸を張る。第4Qに70-69と勝ち越してからは、逆転を許さなかった。

 今日25日の2回戦は、2度の優勝を誇る延岡学園(宮崎)と対戦。3得点した畑田コーチの長男義希(3年)は「父でもあるコーチに、もう1つ最高のプレゼントをしたい」と言った。走るバスケットで波乱を起こす。【久野朗】