女子200メートル平泳ぎ決勝で金藤理絵選手(27=Jaked)がマークした2分19秒65は、今季世界ランク1位。この記録は世界の競泳界で話題になるはずです。

 かつて北島選手が世界記録を出したとき、平泳ぎだけでなく世界のトップ選手が「コウスケってだれだ」「どんな選手だ」と騒ぎ始めました。今は記録があっという間に世界中に伝わる。金藤さんはこのタイムで世界のトップスイマーの仲間入りを果たしたといっていい。これはリオ五輪の日本代表全体にとっても、非常に良い影響を及ぼすはずです。萩野選手とともに、トップを確実に狙える選手が支柱になって、チームがガタつかなくなります。

 今日のレースでは「8年分」の思いをぶつけた感じです。2008年北京五輪に出場して、次のロンドン五輪は落選しました。「4年分」の選手とは思いが違ったでしょう。加藤コーチは「昨年あたりから理絵が変わった」と話していましたが、「やらされる」から「自分でやる」に変化して、メンタル面が強くなった印象です。「もっとフィジカルで向上できる部分があった」と冷静に判断できるようになっていました。持ち前の大きなストロークでいい泳ぎでした。

 「やめなくてよかったね」と声をかけました。ロンドン五輪選考会で敗れた後は、明言こそしませんでしたが、水泳を続けるのかどうか微妙な状況だった。苦しい時期を乗り越えてつかんだ代表権。世界の舞台で思い切り勝負してください。(伊藤華英=北京、ロンドン五輪代表)

 ◆伊藤華英(いとう・はなえ)1985年1月18日、埼玉県生まれ。00年日本選手権に15歳で初出場。01年世界選手権で初代表入り。08年北京五輪で背泳ぎ2種目出場、12年ロンドン五輪は自由形リレー2種目出場。12年秋に現役引退。順大大学院博士後期課程。173センチ。