体操男子のエースでリオ五輪の個人総合と団体総合の2冠に輝いた内村航平(27)が、日本体操界初のプロ転向を検討していることが10月31日、複数の関係者の話で明らかになった。11月中旬の全日本団体選手権(東京・代々木)後にも所属先のコナミスポーツを退社する見通しで、20年東京五輪に向けて新たな挑戦に踏み切る。

 プロ転向により複数の大手企業から支援を受けられるようになるほか、内村が希望する普及活動にも力を入れやすくなる。メディアでの露出など発信力も強まる。サッカー日本代表の岡崎慎司(レスター)らを担当するマネジメント会社「スポーツコンサルティングジャパン」がバックアップ。近日中にマネジメント側と体操協会が話し合う見通し。練習拠点は東京・味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)が候補に挙がっている。

 プロ野球やサッカーなどを除けば、高校や大学卒業後に企業や団体に就職して給与をもらいながら競技を続けるのが通例。競泳ではことし引退した北島康介さんが現役時代に日本コカ・コーラと契約してプロスイマーの先駆けとなった。

 関係者によると、内村は4年前のロンドン五輪の頃から活動の幅を広げる道に興味を示していた。4年後に自国開催の東京五輪が控える中、周囲に「体操をメジャーにしたい。今自分にできることはそれ。そういった活動もしていきたい」などと熱弁。所属先のコナミスポーツも理解を示している。

 ◆内村航平(うちむら・こうへい)1989年(昭64)1月3日、福岡県生まれ。3歳から両親が運営する「スポーツクラブ内村」で体操を始める。東京・東洋高から日体大に進学し、11年にコナミスポーツ入り。08年北京五輪では個人総合と団体で銀、12年ロンドン五輪では個人総合金、団体と種目別床運動で銀。15年、世界選手権個人総合で6連覇達成。家族は妻千穂さん、長女斗碧(とあ)ちゃん、次女千翠(ちあ)ちゃん。162センチ、54キロ。