桐蔭学園(神奈川)が3大会連続の4強入りを果たし、悲願の単独優勝に向けて前進した。今大会初出場となったプロップ細木康太郎(3年)が3トライを決めて逆転勝ち。昨年4月の全国選抜大会決勝と同カードとなった京都成章(京都)を36-14で下した。これで4強が出そろい、明日5日の準決勝は大阪桐蔭(大阪第1)との「桐蔭」対決に決まった。準決勝のもう1試合は東福岡(福岡)-東海大仰星(大阪第2)となった。

 鬱憤(うっぷん)を爆発させる時が来た。先制トライを許し、0-7で迎えた前半13分。敵陣ゴール前の右中間ラックから、106キロのプロップ細木が持ち出しトライ。ゴールも決まり同点とした。再び7点リードされた同30分にもラックから中央にトライを決め、ゴールも決まり同点に追いついた。「僕にとっての花園の初戦。競り合いの最後でトライを取れたので、決定力はあるのかなと思う」と胸を張った。

 昨年5月、練習で走り込みをしている際に、右足太もも裏の肉離れを引き起こした。「割り切って、今できることをやろう」と奮起し、けがをしていない上半身の筋力アップにいそしんだ。10月に本格復帰するまでに、ベンチプレスは140キロから175キロ、スクワットは180キロから220キロまで上がる、チーム1の強靱(きょうじん)な肉体を手に入れた。そのスタミナは後半に入っても衰えず、同5分にもラックから持ち出し、逆転トライを決めた。

 花園入りして以来、悔しさが募っていた。食事をともにしているプロップ山本は「ずっとイライラしていて怖いな、早く試合に出てくれないかなと思っていた」と苦笑い。チームメートが点数を重ねる試合を見て、自分にもできるかどうか不安があったという。「みんなの流れに乗ろう、輪に入ろう」と練習から強く意識した。「少し緊張したけれど、体をぶつけてどんどん行こうと思った」と振り返った。藤原監督も「ちょっと爆発しましたね」と評価していた。

 昨年度の花園では、10月に右ひざ内側靱帯(じんたい)を手術したこともあり万全の状態で臨めなかった。「昨年は絶対に勝つという情熱が足りていなかった。今回はその忘れ物を取りに行きたい」。高校日本一に就いた10年度大会は東福岡と引き分け両校優勝だった。難敵を退け、悲願の単独優勝まであと2つだ。【戸田月菜】