日本スポーツ界に、前代未聞の不祥事が起きた。日本カヌー連盟は9日、昨年9月のスプリント日本選手権(石川県小松市)に出場した鈴木康大(32=福島県協会)が、大会中に小松正治(25=愛媛県協会)の飲み物に禁止薬物を混入させ、小松がドーピング検査で陽性となったと発表した。

<五輪とアンチドーピング>

 ◆検査半世紀 IOCがドーピング検査を始めたのはグルノーブル冬季、メキシコシティー夏季大会の68年から。60年ローマ大会自転車競技で興奮剤を使用した選手の急死を受けて、64年東京大会時に決まった。

 ◆金メダル剥奪第1号 72年ミュンヘン大会競泳男子400メートル自由形優勝のリック・デモント(米国)が尿から興奮剤が検出され、初のメダル剥奪。IOCは持病のぜんそく治療のためという訴えも認めず。

 ◆世界新取り消し 88年ソウル大会陸上男子100メートル、世界新記録でゴールしたベン・ジョンソン(カナダ)がタンパク同化ステロイド使用で失格。カール・ルイス(米国)が繰り上げ金メダル。

 ◆WADA設立 99年に世界反ドーピング機関(WADA)が設立。それまでIOCが主体的に行ってきた反ドーピング活動を行うことに。

 ◆検体すり替え 04年アテネ大会陸上男子ハンマー投げのアドリアン・アヌシュ(ハンガリー)に検体すり替えの疑惑が浮上。再検査を拒否し金を剥奪された。室伏広治が繰り上がりで金メダルを獲得。

 ◆ロシア除外 IOCは昨年12月の理事会で組織的ドーピングがあったとしてロシア五輪委員会を資格停止、2月に行われる平昌冬季大会の出場を認めない決定をした。