世界最高峰リーグ「スーパーラグビー(SR)」参戦3年目の日本チーム、サンウルブズは24日、東京・秩父宮でブランビーズとの開幕戦に臨む。日本代表のジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC、48)が指揮官を兼任する新体制でトップ5を目指す。日本代表の主力であるSH田中史朗(33)、フッカー堀江翔太(32)、WTB山田章仁(32=ともにパナソニック)の“30代トリオ”が思いを語った。

 19年W杯日本大会に向けた代表強化が一気に加速する。今季メンバーは全44人のうち、日本代表キャップ保持者は30人で、W杯までに代表資格を得られる外国籍選手も多数いる。先月末から九州合宿が始まり、18年シーズンが本格的にスタートした。ジョセフ体制になり練習内容も大きく刷新され、早朝、午前、午後の「3部練習」に構成。自衛隊別府駐屯地では各自20キロの装備品を担いで13キロ歩くなどした“鬼トレ”で心身ともに鍛え上げた。

 山田 正直、合宿はかなり激しめです(笑い)。監督がチームを強くしたいという思いが伝わってきた。

 堀江 厳しいからこそ、チームの一体感もある。選手のプロ意識が高く、若手も多いので「おじさんも負けずに頑張らないと」という気持ちで必死です。

 今季は25歳のSH流とNO8のブリッツが共同主将を務めている。年齢や経験、国籍など関係なく「プロ選手」だからこそ、ジョセフHCは選手全員がフラットな関係を築いて、切磋琢磨(せっさたくま)する環境整備をしている。

 堀江 流は自分の意見もしっかり持っているし、変にまとめようというのではなく、僕らの意見にも耳を傾けてくれる。良い主将です。

 山田 付け加えると、言い方が上手。さすが、サントリーで働いているだけあるなと。僕らも古い日本文化のトップダウンでなく、互いに思っていることを言い合って、理解して1つのチームを作りたい。

 ジョセフHCは「オンとオフ」の切り替えを大切にする指導を心掛ける。

 田中 タイムマネジメントがしっかりしている。(同HCが優勝に導いた)ハイランダーズの練習は、もっときつかった。まあ、こんなもんでしょ。

 山田 変に残業しない分、就業時間にしっかりと集中する練習です。

 オフの時、選手は積極的にコミュニケーションを図っている。距離を縮めるために7、8人のミニグループに分かれて、午前中からカフェでコーヒーや炭酸水を飲みながら会話する。

 山田 最近は接待もモーニングやランチにシフトしているし、酒が入ると良い話が出来ない。朝活ではないけど、こういった時間は大切だし、プロチームなのでこのような考えも広めていきたい。

 堀江 今の選手は、世間が思っているような酒をガバガバ飲んだりしない。SRで戦うにはそんな生活できない。

 国際経験豊かな“30代トリオ”は、若手から「エナジー」を得ているという。

 田中 ほんまにフィットネスもなくなり練習中もしんどい…。けど、(同じポジションの)流や内田らは常に全力。「絶対に負けない」「まだ出来る」という気持ちが湧いてくる。食事も野菜を多く取って、夜は炭水化物を抜いて体づくりする生活ですよ。

 それを聞いた、堀江と山田は若手からの「刺激は受けている」としたが「衰えは感じない」と目を丸くしながら全否定した。

 山田 え? たぶん、それは史さんだけじゃない(笑い)。

 堀江 リカバリー(回復)は遅くなっているけど、体力の衰えはあまり感じない。

 サンウルブズは16年シーズンは全18チーム中18位、17年シーズンは17位に終わったが、今季はトップ5の目標を掲げている。1年半後には「ベスト8」入りを目指すW杯が控え、選手の“サバイバルゲーム”は始まっている。

 田中 若手にはスピード、フィットネスでは負けるけど、戦術理解などでは勝ちたい。代表は19年が最後の年と考えているし、SRの試合に1つでも多く出て、レベルアップしてW杯に選ばれれば良い。

 堀江 まずは今季のSRのトップ5を目指す。そこを100%やって、その先にW杯がある。W杯のためにも今季のSRは本当に重要。30代トリオ頑張りますよ。

 ◆田中史朗(たなか・ふみあき)1985年(昭60)1月3日、京都市生まれ。洛南中1年でラグビーを始める。伏見工-京産大-パナソニック。13年にSRのハイランダーズで日本人選手として初出場。代表キャップは64。166センチ、71キロ。

 ◆堀江翔太(ほりえ・しょうた)1986年(昭61)1月21日、大阪府生まれ。大阪・島本高-帝京大-パナソニック。13年からSRのレベルズ、16年からサンウルブズでプレー。好きな食べ物は崎陽軒のシウマイ弁当。代表キャップは55。180センチ、104キロ。

 ◆山田章仁(やまだ・あきひと)1985年(昭60)7月26日生まれ。福岡県出身。5歳からラグビーを始める。小倉高-慶大-ホンダ-パナソニック。15年はSRのフォース、16年はサンウルブズでプレー。代表キャップは23。182センチ、88キロ。