レスリング男子フリー97キロ級の山口剛(28=ブシロード)ら日本代表チームが6日、アジア選手権が行われたキルギス・ビシュケクから帰国した。

 この日成田空港に到着した男子フリー陣は65キロ級の高谷大地(23=自衛隊)が銀メダル、57キロ級の長谷川敏裕(21=日体大)79キロ級の浅井翼(22=拓大)と山口が銅メダルを獲得。山口は2年ぶりの国際試合で2年後の東京五輪(オリンピック)へ手ごたえをつかみ「メダルよりも、今後への課題が多く見つかったことがよかった」と話した。

 一度はあきらめた夢だった。16年リオデジャネイロ五輪出場を逃し、引退を決意した。最終予選直前に右足を負傷、現地入りしてから出場を断念する悔しい終わり方だったが「これが最後」の気持ちに変わりはなかった。所属するブシロードを辞め、社会人として再出発。「サラリーマンとして、めちゃくちゃ働きました」と笑顔で言った。

 競技への未練はないはずだったが周囲の声で変わった。ブシロードの永田裕志監督から「もう1度、やってみないか」と誘われ、木谷高明社長からも「環境は整える」と言われて復帰を決意。昨年4月に再びブシロード入りした。「バックアップしてもらい、競技に専念できています」と周囲への感謝を口にした。

 昨年12月の全日本選手権を2年ぶりに制覇。アジア選手権で2年ぶりに海外の選手と対戦した。次の狙いは4月の国別対抗戦、W杯(米国)。世界のトップクラスが集まる大会で「どこまでできるか、楽しみ」と言った。「東京五輪に出ることを目指して、ベテランだけど頑張りますよ」。日本の重量級エースは、力強く話していた。