世界44位の大坂なおみ(20=日清食品)が元女王を撃破した。初対戦となった同41位のマリア・シャラポワ(ロシア)に、1時間35分の6-4、6-4でストレート勝ち。日本女子がシャラポワに勝ったのは、10年東レ・パンパシフィック1回戦で伊達公子が破って以来8年ぶり3度目。大坂は2回戦で同32位のラドワンスカ(ポーランド)と対戦する。

 世界ランクが落ちても、シャラポワのオーラは、そのままだ。コートに入ってくるだけで、対戦相手はそのオーラにのみ込まれる。しかし大坂は、初対戦でその呪縛を解き放った。パワーで打ち勝ち「彼女と戦えて光栄だった」と喜んだ。

 第1、2セットともに、先手を握ったのは大坂だ。両セットともに、一時は4オールに追いつかれた。「以前なら、その時点で、パニックになった。だけど今は、気持ちをコントロールできる」。落ち着いて、シャラポワの不調のサーブにつけ込み、ストレートで突き放した。

 以前は大坂にとって、ロシアの元女帝も、大好きなウィリアムズ姉妹の対戦相手でしかなかった。シャラポワを最初に見たのは「正直言って、セリーナを見たいと思ってみたら、相手がシャラポワだった」という。経験を積むうちに、ウィリアムズ姉妹には及ばないが、あこがれは強まった。

 「対戦したい相手が3人いて、それが、ウィリアムズ姉妹にシャラポワだった」。今日の一戦で3人のうちの2人、姉ビーナス、シャラポワとの対戦は実現した。その2人から勝ち星も挙げた。「残りは1人。セリーナと対戦しなきゃ」。

 日本女子にとって、8年ぶりのシャラポワからの勝利だ。大坂は勝った瞬間も、いつものように、小さく頭を下げ、右手で観客の声援にこたえるだけ。8年ぶりの勝利も、当然の1勝にしか過ぎなかった。

 ◆日本女子対シャラポワ 今回が24戦目となる。最初の対戦は、シャラポワがまだ世界535位の時。02年のツアー下部大会、草津国際女子オープンに出場し、1回戦で同664位の平知子と対戦した。同大会、シャラポワは日本女子5人を立て続けに倒してプロ初優勝を遂げた。最初に日本女子が勝ったのは、03年のウィンブルドン前哨戦のDFSクラシック準決勝。同103位の浅越しのぶが6-2、2-6、7-6のフルセットで勝った。