2018年の開幕前テストの全日程が終了し、トロロッソ・ホンダは8日間で計822周、距離にして3826・41キロを走破した。車体側にブレーキシステムなどマイナートラブルが出る場面はあったが、パワーユニット側はノートラブルで走り切り、有益なデータ収集ができたとホンダの田辺豊治テクニカルディレクターは語る。

 「合同テスト1回目の方は低温でなかなか思うように走れませんでしたけど、2回目はかなり天候や路面コンディションが良くなって走り込めましたから、その中で予選からレースシミュレーションに至るまで各種テストをこなしていろんなデータを収集することができました」

 テスト1回目は暫定仕様のパワーユニットにさまざまなテストアイテムを組み込んで連日取っ替え引っ替えのテストを行った。そしてテスト2回目には開幕戦をにらんだ仕様を持ち込み、4日間をこの1基のパワーユニットで走り続けて信頼性の確認にも努めた。ここで計498周2318・19キロを走破したことは大きい。およそ3レース週末に相当する距離だ。最終日の最後にはデータ上に異常値が出たため大事を取って壊れる前に走行を切り上げたが、これも分析をすることで良いデータになりそうだ。

 「今週のテストは1基で走り続けて、年間3基と考えれば単純計算で5000-6000キロ弱は使わなければなりませんからそれと比べるとまだまだというところですが、今回走ったエンジンをきちんとバラして中を確認して、栃木県の開発拠点HRD Sakuraのダイナモでテストをしているエンジンともダメージ度合いなどを比べて、それがダイナモ上で表現されているのかどうか、どちらの方が厳しいのか、その上で(どこまで攻めれば壊れるということを把握して)最終的にメルボルンに向けて使い方を煮詰めていきたいと思っています」

 まずは開幕前の準備を確実に行うために、2018年型パワーユニットの開幕仕様は信頼性を最優先に考慮して設計されている。

 そのためパワーに関してはメルセデスAMGやフェラーリには及んでいないのが現状だ。トロロッソ・ホンダは中団グループで戦えるとの認識を示しているが、田辺テクニカルディレクターは慎重な姿勢を崩さない。

 「まだまだ他のチームが何をやっているのか分かりませんから、戦闘力の比較についてはまだ何とも言えないと思っています。2秒マージンを持って走っているチームもあるかもしれませんし、開幕戦になってみないと真のパフォーマンスというのは語ることはできないと思います」

 まずは1歩1歩確実に、というのが本気のホンダだ。昨年までのように大きくつまずくことのないよう、着実に歩を進めていく。そしてシーズン中のアップデートに向けてHRD Sakuraでは急ピッチで研究開発が進められている。

 「テスト1回目と2回目でそれぞれ1歩ずつ進んだといったところです。ここからさらに1歩前に踏み出して開幕戦でコケるというようなことはやらないようにと考えています。ですから、まずは2歩。この状態で確実にオーストラリアに向かいたいと思っています。確実に1歩1歩前に進んで、良いところというか確実な結果をお見せできるようにやっていきたいと思います」(米家峰起通信員)