平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)1500メートル銀メダリストの高木美帆(23=日体大助手)が前日からの首位を守り抜き、166・905点で男女を通じ日本勢初となる総合優勝を果たした。この日の1500、5000メートルは過去6度優勝の地元のスター、イレイン・ブスト(オランダ)と同走。1500メートルは相手の猛追を0秒07差で振り切り、1分58秒82の1位。最終5000メートルでも4位と踏ん張り、日本スケート界の悲願を達成した。
高木美が、欧米以外の選手で初めて「クイーン・オブ・スケート」の称号を手にした。暗い空に照明が輝く夜の屋外スタジアム。最終種目の5000メートルを4位でまとめて総合首位を守り抜くと、充実感に満ちた表情で声援に応えた。地元のエース、ブストの逆転劇を期待した約2万5000人の大観衆からも温かな歓声を浴びる。「サプライズといううれしさの方が(達成感より)強い。五輪で出し切った後ということで、また違った気持ちがある」と偉業達成の味をかみしめた。
2日間で4レース。技術と精神力が求められる伝統の大会で、主導権は1度も譲らなかった。第2日最初の1500メートルも闘志をむき出しに1位。同走のブストを最初の300メートルで0秒33リードしたが、1周ごとに差を0秒19、0秒15と縮められ、同じ展開で逆転された昨年の苦い記憶が頭をよぎった。「絶対に脚を止めない」。気温が上がって氷が緩み、進みづらい中でスパート。互いにスケート靴を突き出した接戦を、わずか0秒07差で制した。
昨年、9秒28の大差で敗れた5000メートルも食い下がった。大敗しなければよい状況で、落ち着いて33秒台、34秒台、34秒台と、相手と同じラップタイムを重ねた。「いける。あとは転ばないことだけ」。ライバルとの真っ向勝負を制し、世界の頂点へと駆け上がった。
照明を落とし、ステージだけが照らされた表彰式。オランダ勢を両脇に従えて、真ん中でほほ笑んだ。金、銀、銅の3個のメダルを獲得した五輪からわずか2週間後の大会で、日本スケート史に名を刻む、大きな勲章を加えた。「レース自体を楽しめたことは次へのステップになる。ずっと記憶に残ると思う」。高木美の時代が華やかに幕を開けた。
◆スピードスケート世界選手権 距離ごとに勝者を決める五輪などと異なり、4距離の総合成績で争う。国際スケート連盟(ISU)によると大会は1889年から行われているが、93年大会のオランダ選手がISUの認める初代王者。女子は1936年から実施。500メートル、1500メートルに加え、男子は5000メートルと1万メートル、女子は3000メートルと5000メートルを滑走。各距離のタイムを500メートルあたりに換算し、合計ポイントの少なさを競う。


