男子3種目、女子2種目の予選が行われ、内村航平(29=リンガーハット)が、昨年10月の世界選手権で負傷して以来、約半年ぶりに実戦復帰した。あん馬では落下して13・233点にとどまったが、続くつり輪では14・366点とまずまず。自己採点「30点」ながら、笑顔の再出発となった。大会は種目別で争われる。

 ほろ苦さの中に手応えがあった。昨年10月2日以来、170日ぶりとなった復帰戦で最初の演技はあん馬。内村は「気持ちが上がりきらないまま臨んでしまった」と、得意の下向き旋回でまさかの落下となったが、そこからの切り替えは見事だった。

 わずか15分ほどのインターバルで行われたつり輪では、力技の中水平や倒立を無難にまとめた。出来栄えの美しさを示すEスコア(実施点)は8・666。恐怖心のあった着地をピタリと止めると、佐藤寛朗コーチの方を向いて右手で小さくガッツポーズをつくった。

 「あん馬でミスをしたことで、その後はおのずと試合モードになることができた。つり輪はリオ五輪以降では一番の出来。審判も笑っていたので、良かったんじゃないかな」

 初日の自己採点は「30点」と控えめだが、それは故障の原因となった跳馬の予選を2日目に控えているから。「着地もしっかりできたし、明るい気持ちで行ける」と話す表情には自分への期待がにじみ出ていた。【矢内由美子】