平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)銅メダルの高梨沙羅(21=クラレ)が2連勝で激動のシーズンを締めた。1回目に99メートルで首位に立ち、2回目は102・5メートルと飛距離を伸ばし、合計250・4点で今季2勝目を挙げた。前日24日の個人第14戦に続く連勝で、男女を通じて歴代単独最多の通算勝利数を55に伸ばした。

 強い高梨が帰ってきた。前日24日に最多54勝目を挙げ、勝ち方を思い出したかのように今季の最終戦で2連勝を飾った。連勝は昨季2月5日に3連勝して以来。シーズンの最後の最後でらしさを取り戻した。「素直に喜べる55勝。前日の課題を克服して2本ともうまくそろえられた」と喜んだ。

 1回目。低い助走路から鋭く飛び出し、風を捉え一直線に伸びて99メートルまで飛んでいった。足を前後にして着地するテレマークもしっかり決め、飛型点も56点と高得点をたたき出した。この時点で、2位のイラシュコ(オーストリア)に飛距離換算で約4メートルもの大差をつけたが、2回目は102・5メートルとさらに飛距離を伸ばし、完勝した。「次のシーズンにつなげるためにもいい試合で終えることができた」と満足げに語った。

 昨季の最終戦前に53勝を挙げてから前日まで14戦を要すなど苦しんだシーズンだった。それでも攻めの姿勢は忘れなかった。銅メダルを取った平昌五輪後も休む間もなくスロベニアで、父でコーチの寛也さんらと合宿するなど優勝を諦めなかった。今大会は各選手の飛躍時に自分の好きな楽曲を場内に流している。前日は二人三脚で歩いてきた父が大好きという歌手、水前寺清子のヒット曲「三百六十五歩のマーチ」を選び、感謝を快挙という形で届け、この日の2連勝につなげた。

 来季はまだ個人の金メダルがない世界選手権(オーストリア)がある。22年北京五輪での金メダルに向けて、高梨の戦いは終わることはない。