ノルディックスキー複合で今季のワールドカップ(W杯)個人総合を初制覇した渡部暁斗(29=北野建設)が27日、欧州から帰国した。今季は序盤と五輪直前と2度の骨折はあったが、日本人最多8勝を挙げ、荻原健司氏以来、23季ぶりに世界の頂点に立った。「気持ちはそんなに高ぶったものではなくて冷静。唐突に取ったものではなく、着実に1歩を積み上げた結果なので」と振り返った。

 昨季まで個人総合は6季連続で3位以内と届きそうで届かなかったタイトルだった。世界では「シルバーコレクター」と言われたこともあったが、今季は8勝を積み上げ、誰も認める王者になった。空港ではクリスタルトロフィーを手に笑顔で浮かべながら「これが世界一強い選手の証明だと思ってやってきた」と自信をのぞかせた。

 通算勝利も17勝でジャンプ男子の葛西紀明(土屋ホーム)と並んだ。荻原氏が持つ同競技最多の19勝にもあと2と迫っている。「勝てるうちに勝っておきたい」と来季も貪欲に攻める。