ミキハウスグループの入社式が4日、大阪・八尾市内で行われ、木村皓一社長(72)が、新入社員に臨時ボーナスを出した。

 式の冒頭、壇上で分厚い札束入りの封筒を取り出すと「持ってきました」とニンマリ。ポケットマネーから、サプライズで49人全員に金一封を手渡した。

 3月末、広島県内で1泊2日で行われた新入社員研修中に、ボート大会が開かれた。約20人乗りのボートを、社員が力を合わせて漕ぐというものだった。

 4月から入社するレスリング男子のグレコローマンスタイル59キロ級で昨年の世界選手権(パリ)を制した文田健一郎(22)と、体操女子で2大会連続五輪出場の寺本明日香(22)らも参加。1、2回目のレースで木村社長は文田と同じ班になり「よう漕がん、下手くそな文田君やった」と苦笑いをしていたという。

 ところが…。3回目のレースでは、先輩社員と新入社員の対決となった。勝てると信じて疑わなかった同社長は「(先輩社員が)負けたらボーナスを出す」と大盤振る舞いを約束。しかし、3回目でオールの漕ぎ方を習得した文田が中心となり、新入社員が勝利。そんな背景があって、入社式での金一封が実現した。

 文田は「社長と一緒の時はうまく漕ぐことができなくて『力が入りすぎや。6番が遅いんや』と言われました。力だけで漕ぐと、オールが浮いてしまう。感覚をつかむのに時間がかかりました」としながらも「勝ったらボーナスと言われましたけど、ビックリ。うれしいです」と笑顔を見せた。一緒に漕いだという寺本も「そんなに迷惑をかけたのかな? というくらい、文田君は力強かったです」と明かした。

 文田、寺本の2人とも東京五輪での金メダルを目標に掲げる。金メダル獲得なら、また同社長から特別ボーナスが出るかも?