バドミントンのアジア選手権男子シングルスで初優勝を飾った桃田賢斗(23=NTT東日本)が、五輪3大会連続準優勝のリー・チョンウェイ(35=マレーシア)から初白星を挙げた準決勝を「不思議な感覚だった」と振り返った。30日、桃田ら日本代表が成田空港に帰国し、取材に応じた。

 桃田は16年4月、発覚した違法賭博問題による出場停止処分を受けた。処分が科されている同年9月、自身もドーピング問題から8カ月出場停止となった経験があったチョンウェイは、桃田へ励ましのメッセージを送っていた。

 「自分は8カ月出られなかった間、より強くなって復帰できるよう努力してきた。彼にも前よりも強くなってもらいたい。彼はまだ若い。人は100%正しい道を歩めるわけではない。もし間違いを犯したのであれば、それに気付き、自分を変化させればいい。新たに強い人間になり、帰ってくれればいい」

 桃田は当時このメッセージを記事で読んだという。「自分がつらい時期に言葉をくれて、本当に励みになった。試合をしている時も不思議な感覚だった」。14年の全英オープンでチョンウェイと対戦したときは、あこがれの選手との対戦に「フワフワした状態だった」とストレートで敗れた。

 今回の対戦では違った。「今回は自分の『絶対に勝つんだ』という意志を持って取り組んだ」と2-0ストレートでの勝利に胸を張った。続く決勝ではリオデジャネイロ五輪金メダリストの■竜(29=中国)を2-0で破るなど、名だたる強豪を破ってつかんだ初優勝だった。

 違法賭博が発覚する前にも得意としていた、相手の裏をかくようなショットなどのテクニックの部分に、処分を受けている期間に培った体力がかみ合った。「少しずつ、これまでの技術の感覚と、身につけたスピードやスタミナがリンクして、うまく試合にかみ合ってきている」と手応えをつかんだ。

 2年前に比べて完全復活したという感覚があるのかと問われると、「前の自分と対戦したことがないので分からないけれど、進化できるようにしたい」と引き締めさらに上を見据えた。【戸田月菜】

※■は言ベンに甚