92年バルセロナ五輪男子団体銅メダリストで日体大監督の畠田好章さんを父に持つ、畠田瞳(17=セントラル目黒)が合計161・463点で3位に入り、世界選手権(10~11月、ドーハ)の代表候補となった。全日本の得点を持ち点に争われ、6位までが代表候補に決定。日本協会強化本部が今後5人に絞り込む。

 4種目すべてをミスなくやりきった畠田が、初の世界選手権出場に大きく前進した。「ノーミスが目標だった。達成できてうれしい」。1年前の苦い経験が糧となった。昨年4月の全日本選手権。初の世界選手権代表入りを目指し、初めて上位6人の第1班で演技した。しかし、最初の跳馬で手をすべらせ、尻もち。その跳馬の大きなミスが響き、13位に終わった。続くNHK杯で巻き返したが、世界選手権代表には届かなかった。

 練習でもしたことがなかったという失敗。畠田はこう振り返る。「あれは、その時点まで気がゆるんでいたところがあって。神様が、失敗をさせて、今の自分につなげさせるようにしてくれた」。それ以来、たとえ練習で成功したとしても、「試合でできなければ意味がない」と自分に言い聞かせ、練習してきた。

 この日、コーチでもある母友紀子さん(44)は、4種目目の床運動が終わると、涙を流した。友紀子さんは「最後の最後まで去年の失敗がトラウマのようにありました」と明かし、「こつこつ、まじめな子。親が感心するぐらい。もし今年代表に入らなかったら、彼女のせいではなく私のせいだと思っていた。頑張っている子が代表に入れて良かった」と娘をたたえた。

 本格的に体操を始めたのは小学校3年生から。きっかけは、元体操選手の両親のすすめではなく、小学校の道徳の授業だった。そこで知った、あるマンガ家のマンガに人生をかける生き様に感動。「私にあてはまるなら体操しかない」と、その日のうちに母に体操をやりたいと訴えた。

 親から受け継いだ才能に頼らず、こつこつ努力を積み重ね、目標としてきた20年東京五輪の舞台へまた一歩近づいた。