男子決勝の最終第4課題で日本のエース、楢崎智亜(21=TEAM au)が、起死回生の大ジャンプを1回目で成功させて2位に入った。

 第3課題まで完登できず、6人中5位と低迷していたが、2課題を完登した選手がおらず、最終第4課題を一撃(1回目のトライで完登)すれば逆転優勝の可能性が残っていた。この一発勝負に楢崎智は1回目のトライで、設定されたホールドを1つ飛び越して、もう1つ上のホールドをつかむ大技に挑戦。見事成功させて完登し、一気に1位に浮上した。

 結局、続く最終競技者のモローニ(イタリア)も一撃に成功して、完登2となったため、楢崎智は優勝を逃したが「あそこで攻められたことが自分が成長したところ」と満足そうだった。昨年の同大会は1位をキープしていたが、第4課題で逆転されて2位に終わり涙を流した。1年前と同じ順位にも「昨年とは全然違う。9月の世界選手権で金メダルを目指したい」。一皮むけてさらに大きくなり、20年東京大会の主役になりそうだ。

 ベテランの杉本怜(26=北海道山岳連盟)も決勝で高難度の第3課題を1人だけ成功させて3位に入った。昨年は練習中に左ひざの靱帯(じんたい)を断裂する重傷を負い、戦列を離れていたが、同6月のナビムンバイ(インド)大会の2位以来、約1年ぶりの表彰台で。完全復活をアピール。「ワールドカップ(W杯)の年間表彰台に立ちたい」と意欲を見せていた。