世界12位の錦織圭(28=日清食品)が、予選勝者で同32位のダニル・メドベージェフ(ロシア)の前に、1度も相手のサービスゲームを破ることなく、2-6、4-6のストレート負けを喫した。錦織は16年2月のメンフィスオープン以降、ツアー・シングルス決勝で8連敗となった。

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決勝8連敗の内訳を見ると、ランク上のナダルとジョコビッチに敗れたのが2回ずつで計4回と半分を占める。問題はそれ以外の4試合だ。チリッチ、ディミトロフ、ドルゴポロフ、そしてメドベージェフ。一発があり、当たったら手がつけられない選手なのが共通項だろう。

転機は16年10月のスイス室内の決勝、チリッチ戦だった気がする。その前に対戦した同年ウィンブルドンは錦織が体調不良だったため参考にならない。その前までさかのぼると、13年から15年までチリッチとは6対戦で錦織が5勝。スイス室内は08年初対戦以来、初のストレート負けだった。

そこから決勝での守りが目立つようになった。得意とするチリッチに敗れたことは、精神的なダメージを与えたのかもしれない。この日はメドベージェフの直線的な球に緊張でラケットを振り切れず、球を持ち上げられなかった。挑んでくる相手に気持ちが守りに回る。それをどこかで打破したい。【吉松忠弘】