「世界一のリーグ」を目指してついにスタートを切る。卓球の新リーグ「Tリーグ」は男子が24日、女子は25日、東京・両国国技館で開幕する。紆余(うよ)曲折を経て誕生した待望のプロリーグで強化を進め、打倒、中国に向け、新たな歴史を刻んでいく。「卓球 元年」では新リーグの理念、強化、未来をテーマに3回にわたって連載する。第1回は「理念」編。設立の目的、意義など紹介する。

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リーグの柱となるのが「世界一のリーグの実現」。現役時代にドイツのプロリーグで活躍した松下浩二理事長は、90年代からプロリーグの必要性を説いてきた1人。17年3月にTリーグ設立が決まってから約1年7カ月、陣頭指揮を執り、ようやく実現にこぎつけた。「世界NO・1の卓球リーグを作る。そこを一番大事にしないといけない。あとは卓球を通したスポーツビジネスの価値を上げたい」と熱い思いを語った。

敗戦から生まれた壮大なプロジェクトだ。転機は08年北京オリンピック(五輪)。福原愛らを擁して期待されながらもメダルなしに終わり、世界との差を痛感させられた。世界で勝つためには何が必要か。一気にプロリーグ設立の機運が高まった。日本協会は10年3月に本格的に設立プロジェクトをスタート。ただ、チームもない全くのゼロベース。構想が具体化しなかったが、16年リオデジャネイロ五輪で男女計3個のメダルを取り、追い風が吹いた。16年12月、日本協会でリーグ創設が承認され、歴史が動きだした。

参戦するチームは男女4チーム。各チームには過去2季で世界ランキング10位以内に入った選手の所属が義務づけられた。これまで国内の有力選手はレベルアップのため、時間とお金をかけて海外のプロリーグに参戦していたが、厳しい条件を課したTリーグが高いレベルを維持すれば、日本にいながら強化が可能。それにより国内での卓球の価値が上がりビジネスにも結びつけられる。

ドイツのプロリーグをモデルに今後は2部、3部を作り、トップリーグを頂点にピラミッド型の育成システムを構築。各世代に強い選手がいる中国のように、強化と育成を担うリーグを目指す。松下理事長は「ただイベント的に勝った負けただけを考えているわけではない。10年、20年先の卓球界を見据えてやっていきたい」。卓球界の未来を背負い、新リーグが船出する。【松末守司】

<Tリーグ・アラカルト>

▼期間 18年10月~19年2月。19年3月に上位2チームによるファイナルを開催。

▼参加 男女各4チームで選手は6人以上。直近2シーズンで世界ランキング10位以内。または、直近4シーズンで五輪、世界選手権シングルス3位以内などの実績を持つ選手の加入が必須。

▼参加選手 男子の東京には、リオ五輪銅メダルの水谷や張本、彩たまには同五輪団体銀メダルメンバーの吉村晴が加入。女子は神奈川に石川、日本生命には平野、早田がいる。

▼試合形式 団体戦で行い、総当たり7回戦(各チーム21試合)。A対Bの対戦をチームマッチと呼び、1チームマッチは、4マッチ(シングルス3、ダブルス1)構成。2勝2敗となった場合は、ビクトリーマッチ(延長戦)を行う。シーズンの順位は勝ち点によって決定。

▼育成 競技の普及、強化のため、6歳以下のスクールを持つ。