カヌーの“ハネタク”こと羽根田卓也(31=ミキハウス)が4日、シーズンを終えて成田空港に帰国し、19年5月の東京五輪会場のカヌー・スラロームセンターの完成に合わせ、主な練習拠点を日本に移すことを明らかにした。

「コースを知り尽くしていることのアドバンテージは大きいので、できるだけ練習をしていきたい」と東京五輪を見据えた。

羽根田は杜若高卒業後の06年からカヌー強国スロバキアに渡り、武者修行をしてきた。「東京のコースでの練習スケジュールも上がってきている。東京五輪までは今までより日本の滞在を増やして、スロバキアに行くことも少なくなる」と話した。

16年リオデジャネイロ五輪男子スラロームカナディアンシングルで日本カヌー界初の銅メダルを獲得。リオ五輪後は、変化を求め、室伏広治氏とのトレーニング機会を設けるなどの新たな挑戦にも取り組んできた。

今季は8月のジャカルタ・アジア大会で連覇を達成したものの、9月の世界選手権では予選で敗退。「シーズンの始めから手応えを感じていたんですが、勝ち負け、成績につながらなかった。あれ?って感じでした」。1シーズンの戦いを終えて、レース戦略の方向転換も視野に入れた。

「今まではスピードアップを意識してきたけれど、今の世界のトレンドとは違う方向に行ってしまっているのかもしれない。今年1年を通して、年々ゲートセットの難易度が上がっていることが分かったし、スピードよりテクニックを必要とする要素が多い」と分析する。

今オフでは、昨年同様室伏氏とのトレーニングやクロスカントリーも計画している。「鍛えたパワーとスピードを維持しながら、もともとの強みである技術面も取り戻すトレーニングをしていきたい」と笑顔で意気込んだ。