競泳男子の萩野公介(24=ブリヂストン)が、水泳人生で“初体験”だ。タイム決勝となった男子400メートル個人メドレーで午前の4組目に登場。4分1秒93の同組1着だった。

タイム決勝は選手が1度だけ泳いで、そのタイムで順位を決める。大会側に提出する、それぞれのエントリータイム上位8人の最終組だけが、午後6時開始の他種目決勝と同じ時間帯で泳ぐ。午前の組では、エントリータイム上位8人からもれた選手たちが入る。小学校時代から「怪童」と呼ばれ、16年リオデジャネイロ・オリンピック(五輪)金メダルの萩野は午前の組について「人生初めてだと思います」と、驚きの表情で口にした。

今大会は直近15カ月のタイムが有効で、萩野は8月に長水路(50メートルプール)で行われたジャカルタ・アジア大会銀メダルタイムの4分10秒30でエントリーした。ただ短水路は長水路よりもタイムが早くなるため、短水路のタイムをエントリーした選手たちに及ばなかった形。萩野は「平井(伯昌)先生から『世界一早い(東京五輪の)午前決勝対策だ』といわれました。おもしろ半分ですが、そういう気持ちでやりました」と苦笑いで振り返った。

前夜は就寝時間を少し早めて、朝のアップを強めに行ったが、それ以外は普段通りに準備した。「250メートルすぎからばてたけど、悪くなかった。(五輪は)朝決勝といっていても、実際にやってみると『なるほどな』と思った。僕は午前中に体が動きにくいほうではないので、気持ちのほうですね。気持ちの盛り上げが、いつもの午後決勝のようにできたかというと、すこし感覚が違いましたね」と初体験に興味津々だった。

ちなみに午前の組に入ったことは、前日10日にレース後のクールダウン中に知ったという。「後輩から『公介さん、明日、朝決勝ですよ』と言われて『えっ』と思った。言われなかったらたぶん招集漏れ(で失格)していたかも…」とジョークで締めくくっていた。

最終組は午後6時に行われたが、萩野のタイムを上回る選手はおらず、萩野はそのまま優勝となった。