世界9位の錦織圭(29=日清食品)が、16年2月のメンフィスオープン以来、約3年ぶりにツアー優勝を遂げた。同16位のダニル・メドベージェフ(22=ロシア)に6-4、3-6、6-2で勝利を収め、ツアー通算12勝目。19年年頭から負けなしで、14日開始の今季4大大会初戦、全豪オープン(メルボルン)に挑む最高の滑り出しとなった。錦織が、ツアー開幕戦に優勝したのは初めて。

メドベージェフには、18年10月の楽天オープン決勝で敗れていたが雪辱を果たし対戦成績を2勝1敗とした。

表彰式に臨んだ錦織が笑顔でトロフィーを掲げると大歓声に包まれた。「うれしかった。きわどい試合で2セット目でチャンスがありながら落とした。どうしたらよいかという気持ちもあったが、3セット目で修正できた。最後まであきらめず、勝利できて良かった。(開幕戦で)初めて優勝してシーズンが始まる。とてもいい準備ができて(全豪オープンの)メルボルンに向かえる。今週のようなプレーができれば(全豪でも)上位にいける。自分のテニスを意識したい」とコメントした。

好調に勝ち上がり決勝に進んだ錦織だったが、決勝は調子が落ち、加えて、メドベージェフの威力がある直線的な弾道の球にミスが生まれた。

今大会の準決勝後も、「弱点がない完成された選手。すぐにでもトップ10に入ってくる」と警戒していた。しかし、この日は、楽天オープンの敗退を糧に、相手を研究。攻守がかみ合い、メドベージェフのミスを引き出した。

12勝目まで、長い道のりだった。9度の決勝で、敗れた相手はジョコビッチ(セルビア)、ナダル(スペイン)が2回ずつ。後は、チリッチ(クロアチア)、ディミトロフ(ブルガリア)、ドルゴポロフ(ウクライナ)、アンダーソン(南アフリカ)、そしてメドベージェフ。そうそうたるメンツで、全員がトップ20経験者だ。ボティーニ・コーチも「負けてもおかしくない強い相手ばかりだった」と、優勝が簡単ではなかったことを明かす。

錦織自身も「いつか勝てるときが来る。気にしていない」と話していたが、やはり気がかりではあったのだろう。今大会の準決勝で勝った後に、コート上での勝利者インタビューでは「タイトルを取るのが目標」と明言。リップサービスだとしても、タイトルを口にするのは珍しかった。

17年8月に右手首の腱(けん)を脱臼。口さがない人たちから、「錦織はもう終わった」とまで言われた。しかし、18年1月にツアー下部大会で復帰。一時は39位にまで落ちた世界ランキングを、最終的には9位にまで上げトップ10復帰。そして、19年年頭に、ついに約3年ぶりのタイトル奪取までこぎ着けた。

 

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