女子テニスで、世界1位の大坂なおみ(21=日清食品)の新コーチが決まった。2月28日、自身の写真投稿サイト「インスタグラム」でビーナス・ウィリアムズ(米国)の専属練習相手だったジャーメーン・ジェンキンス氏(34=米国)がチームに加わると明かした。大坂は同12日にサーシャ・バイン氏とのコーチ契約を電撃解消。バイン氏はビーナスの妹セリーナの元専属練習相手だった。姉妹で4大大会30度の優勝を誇る女王学を吸収する。

  ◇   ◇   ◇  

<解説>新コーチは、またもウィリアムズ姉妹ゆかりの人物だった。大坂がウィリアムズ姉妹、特にセリーナを尊敬していることは有名だ。「彼女がいなかったら、たぶんテニスはしてなかったと思う」と以前、話していた。14年にセリーナと初対面したときは「もう緊張しちゃって固まった」という。大坂や姉のまりがテニスを始めたきっかけも、ウィリアムズ姉妹だった。

父レオナルド・フランソワさんが大阪に住んでいるとき、テレビでウィリアムズ姉妹のプレーを見た。「自分たちにもできるかもしれないと思った」と、後々、フランソワさんは語ってくれた。フランソワさんは、大坂を国際テニス連盟の世界ジュニアツアーに出場させていない。その代わりに、全米テニス協会のジュニアと一般の大会に多く出場させ、経験を積ませた。それも「ウィリアムズ家がそうしていた」のが理由だった。

最新の世界ランキングでセリーナが10位、ビーナスが37位と1位の大坂が完全に上回った。しかし、テニスの歴史に名を刻むという点では、大坂はまだまだウィリアムズ姉妹の足元にも及ばない。コーチを通じ、姉妹から、間接的にではあるが世界の女王学を伝授されることになる。姉妹の後継者として、世界のテニスの歴史を塗り替える。そのための選択ともとれる。【テニス担当=吉松忠弘】

◆ジャーメーン・ジェンキンス(Jermaine Jenkins)1984年11月20日、米ジョージア州カレッジパーク生まれ。クレムゾン大(サウスカロライナ州)で選手として活躍し、チームの主将も務めた。04年にはダブルスで、オールアメリカンに選ばれた。自身最高の世界ランキングは1386位。180センチ、77キロ。