女子200メートルバタフライで、16年リオデジャネイロ五輪代表の長谷川涼香(19=東京ドーム)が、2年ぶりの復活優勝を果たした。大橋悠依(23)の猛追を0秒13差で振り切って、2分7秒44で優勝。派遣標準記録もクリアして世界選手権(7月、韓国)代表を決めた。昨年は不振にあえいだが、同秋から父の滋コーチ(51)と小6以来の師弟関係を再結成。自己記録2分6秒00の実力者が帰ってきた。

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長谷川が、果敢に飛ばした。前半は日本記録を0秒05上回る1分00秒60。最後の50メートルは猛追する大橋を振り切った。父の滋コーチを「ヒヤヒヤ、ハラハラ」と驚かせたが「いつもタッチの差で負けていたが、今日は勝ててよかった」。2年ぶり2度目V、世界切符もしっかりと手にした。

昨年は練習が良くても試合で2分8秒が切れなかった。「どうして出ないか、わからない」と何度も目を赤くした。夏の国際大会代表選考の日本選手権で2位。追加選考のジャパンオープンも精彩を欠いて「全然(代表に)入らない」。あきらめ半分で家路につくと携帯電話が鳴った。選出の連絡だったが「私、入ってもいいのかな…」。結局、夏も不完全燃焼で終わった。

復活へ、小6まで指導を受けた滋コーチとの再タッグが浮上。長谷川は「東京五輪を前に何かを変えるのもいいんじゃないか」。父は「正直、最初は断ろうと思った。私が見るレベルじゃなくなっている」というが、娘の苦しむ姿に腹を決めた。娘と父は、7年ぶりにタッグを結成した。

「プロ意識を持て」。父から口を酸っぱくして言われる。「大学の特待生でもあるし、水泳という技術をかってもらっている以上、スイミングを習いにいく子どもたちとは違う」と父。精神面とともに抵抗が少ない姿勢を模索。フィンスイミング選手に分析を頼むなど技術面も改善した。

娘と父のコンビはひとまず世界選手権まで続行する。長谷川は「去年は悔しい思いしかしていない。2分5秒台を出して晴らしたい」。自己ベスト2分6秒00は前回の世界選手権銅メダル相当。自己記録更新はそのまま世界の表彰台につながる。【益田一弘】