12年ロンドンオリンピック(五輪)女子代表で昨年12月に現役引退した黒須成美さん(27)が、会場で行われた「レーザー・ランニング&フェンシング教室」に参加した。

都内在住の小・中学生約50人を2グループに分け、ゲスト講師の黒須さんは得意のフェンシングを指導。左手におもちゃの剣を持ち、構えの基本姿勢や足の使い方などを丁寧に伝えた。「子供たちにとって、世界のトップ選手が集う会場で競技を体験出来ることは非常に貴重なこと。教室後の男子決勝を見て、『近代五種をやりたい』『興味をもった』などと思ってくれる子供が1人でも増えてくれたら良いな」と笑みを浮かべた。

射撃はレーザー銃を用いて5メートル先の的を狙った。数年前まではBB弾を用いていたが「安全面も配慮されて、より競技が身近になっていると思う」と強調した。初心者の子供たちにはフェンシングと馬術を除いた、競泳とレーザー・ランニングの近代3種からの入門を勧めた。「3人ぐらいセンスある子もいて、スカウトしたいぐらい。定期的に近代3種の大会も開催しているので、多くの方に参加してもらい、競技の魅力を体感してほしい」と呼び掛けた。

茨城・下妻市出身。中2から本格的に競技を始めた。当時の国内の女子選手は黒須さん1人で、世界選手権代表だった父秀樹さんの夢を託され、二人三脚で五輪を目指した。大半の選手が環境施設が整った自衛隊や警視庁に進む中、地元を拠点にフリーで活動した。日本女子初のロンドン五輪に出場した12年から東海東京フィナンシャル・HDに所属し、現在も勤務しながら競技普及に尽力している。

この日の男子決勝には、世界ランキング140位の小野友行(33=警視庁)と同198位の嶋野光(30=自衛隊)が出場。優勝者には、20年東京五輪の出場権が与えられる。