20年東京オリンピックのマラソン代表(3枠)の2枠を懸けた大一番のレースで、中村匠吾(26=富士通)が優勝した。2時間11分28秒だった。2位に8秒差で服部勇馬(25=トヨタ自動車)が入り、中村と服部の東京五輪出場が内定。大迫傑(28=ナイキ)は3位だった。

天候は晴れ、気温25度、湿度72%、風速2メートルという条件。スタートから飛び出したのは設楽悠太(27=ホンダ)だった。「先行逃げ切り」を宣言していた通り、最初の5キロを14分55秒で通過。後方に控える集団とは1分以上の差をつけた。

「順調に練習をこなせた。自分でも信じられないくらいの結果が残せる」。前をしっかり見据え、堂々とした走り。快走を支えたのは、自分への揺るぎない自信だった。

10キロ通過。タイムは29分52秒、日本最高記録を上回るハイペース。沿道の大声援には左手を挙げて応えた。追いかける後方集団は、井上大仁(26=MHPS)を先頭に10キロを31分36秒で通過。1分44秒の大差をつけての独走だ。

15キロ通過。トップの設楽は44分59秒、この5キロを15分7秒でまとめる。抜群の安定感でレースを進める。2時間5分50秒の日本記録保持者・大迫は、設楽から遅れること2分13秒差の3位だった。

20キロ通過。トップの設楽は1時間4秒、追う2位集団の鈴木健吾(24=富士通)と大迫が1分56秒差。中村と服部も続く。2位集団は4人、設楽とは差が縮まった。気温は28度を超えて耐久戦の様相を呈する。

25キロ通過。設楽は1時間15分32秒。帽子をかぶらず、髪を風になびかせながら設楽は独走する。1分50秒ほどの差で追う2位集団に藤本拓(30=トヨタ自動車)が加わり、大塚祥平(25=九電工)、橋本崚(25=GMO)も続く。

30キロ通過。設楽は1時間31分41分。この5キロは16分9秒とペースダウン。2位通過の橋本とは1分19秒差まで縮まった。服部、大迫も順調に2位集団で続く。12年ロンドン五輪代表のベテラン、中本健太郎(36=安川電機)も競技人生の集大成をかけたレースで安定の走り。

35キロ通過。トップの設楽は粘りの走り、1時間48分40秒。2位集団は9人、鈴木を先頭に35秒差で追う。36キロすぎ、トップの設楽は後方を振り返る。2位集団が迫ってきた。36キロの神楽坂、じりじりと差が詰まる。

37キロすぎ、ついに設楽の1人旅が終わる。2位集団が設楽を逆転した。鈴木が首位に立った。設楽は後方に下がった。集団走が続く。

39キロ通過。中村がロングスパート、帽子を投げ捨てた。服部、大迫が追う。3選手によるデッドヒート。中村が最後のスピード勝負を制した。