トランポリン日本代表合宿で公開試技が23日、東京・北区のナショナルトレーニングセンターで行われ、女子代表の森ひかる(20=金沢学院大ク)が、東京五輪出場枠獲得がかかる世界選手権(28日開幕、東京・有明体操競技場)に向け意気込んだ。

9、10月のW杯で2戦連続表彰台に上がり、調整は順調だったが、その後調子がいいあまり、ジャンプが高くなりすぎた。森は「何でしょうね。自分でも分からないぐらい勝手に高さが出ていた。普通だったらいいことだけど、いつも通りができなくなった」と安定感がなくなっていたことを明かした。

これまで3回転宙返り前の高さが2秒だったのが、高く上がり0・1秒ほどずれるようになっていた。丸山強化本部長も「いつもと見える景色が違うとタイミングもずれる。高くても低くてもダメ。微調整がうまくいっていなかった」と話す。自身の現役時代を例に出し「自分も五輪前にジャンプ力が上がって技のレベルを上げようとしたけどうまくいかなかった」と調整の難しさを語った。実際に会場でテンションが上がり、高さを上げてミスをしてしまうデータもあるという。

今月上旬の日本選手権でもミスがあり、この日の試技も納得がいかず、志願して2本目を行ったが、徐々に修正できているという。チームに戻ってから何本も飛んで納得のいく高さを模索。「高さはだいぶ良くなってきた。焦ってしまうと入りが悪くなるので気を付けたい」。世界選手権で上位8人の決勝に残れば、日本に東京五輪1枠が決定する。森は「頭に入れていないといけない。やるしかない状況で決められるのが強い選手」と闘志を燃やす。

外見も気合十分。世界選手権に向け、金沢での合宿前にネイルを施した。歌舞伎の模様を入れ「レオタードの色に合わせていい色にしてもらった。120点です」と鮮やかな指先を笑顔で報道陣に見せた。髪の毛も茶色にし、気持ちを入れ替えた。「五輪がかかった本番では何が起こるか分からない。バシッと決めたい」。気合十分の日本のエースは、わずかな高さのズレを克服し、勝負ネイルで五輪代表枠を勝ち取る。【松熊洋介】