ロシアのニジニタギル(ヒルサイズ=HS134メートル)で7日に行われた、ノルディックスキー・ワールドカップ(W杯)ジャンプ男子個人第3戦で、佐藤幸椰(24=雪印メグミルク)が251・6点でW杯初優勝を飾った。日本勢男子としては15人目のW杯優勝者となった。

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「底力は上がっている」。佐藤は開幕前、そう話していた。昨季は初の表彰台となる3位を経験。今オフはさらなる進化を求め、スキー板を硬いものに変えた。オリンピック(五輪)で4個の金メダルを獲得したベテラン、シモン・アマン(スイス)と同様の取り組み。夏の国際大会、グランプリ(GP)では日本勢最高の2位。「経験が力に変わっている」。好調な夏の勢いをそのまま冬につなげた。

謙虚な姿勢が成長につながっている。W杯には地元札幌大会の15年に初出場したが、7戦連続で2回目に進むことができなかった。世界との差を知った苦い記憶は、初の開幕代表メンバーに選ばれた現在も忘れていない。「ドンといきたいところだけど今の地位を確かなものにしたい。まずは2回目に進んでポイント(30位以内)を獲得すること」という。

代表メンバーには雪印メグミルク勢が3人いて最年少。遠征の生活面を先輩たちに教えてもらい「ジャンプに影響が出ないように過ごせてきた」。W杯本格参戦3季目。実力を発揮し始めた24歳が勝ち星を重ねていく。【西塚祐司】