【鄭州(中国)=三須一紀】水谷隼(30=木下グループ)伊藤美誠(19=スターツ)組が混合ダブルスで準優勝した。

今年の世界選手権王者、許■、劉詩◆組(中国)を苦しめるも2-3と惜敗。東京オリンピック(五輪)の新種目で、金メダルの可能性を感じさせた。混合ダブルス代表は、団体戦に出る男女3人の中からペアリングを試し、五輪直前に決める方向。伊藤は女子シングルス準決勝にも挑み、世界ランキング1位の陳夢(中国)に1-4で敗れた。

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幼少からの旧知のコンビが、世界王者を苦しめる。第1ゲーム、水谷が女子の劉から確実に得点し、11-9で先勝。第2ゲームは11-6と圧倒した。そこから相手に王者の貫禄が出始める。2ゲームを返され迎えた最終ゲーム、8-8の場面。水谷が「決まった」と思ったフォアストレートが無情にもアウトに。「自分のベストボールという感触だった。あれをミスるようではダメ」と反省した。

伊藤は男子世界ランキング1位許の変化の鋭い球を巧みにブロック。「許■のボールにも目が慣れてきた」と言い切った。それでも最後は9-11と最少点差で敗れた。「許と劉は途中からあえてラリーを続け、私たちのミスを待った。試合中にいやらしく戦術を変えてくる」。しかし、それも東京五輪へ大事な経験となった。

今年7月に初めてペアを組んだばかりだが、今回を含め国際大会で5度も決勝に駒を進めた。2人は同じ静岡・磐田市出身で、水谷の両親がコーチを務める豊田町卓球スポーツ少年団の出身。結成約1カ月後のワールドツアーで優勝を果たすなど、一気に東京五輪候補に名乗りを上げた。

11歳下の伊藤は水谷を「ジュン」と呼ぶ。「普通、先輩だったら気を使うけど、自分はしっかり言える。試合中でも戦術のことを言い合える。そこは良いところ」と伊藤。試合中は水谷が戦術を提案し、それに対し、伊藤やコーチが意見を言い合うという仕組み。この日も試合後、伊藤が水谷に「もっと練習して」と言うほど仲が良い。

「東京五輪に出るなら優勝を狙う」とともに口をそろえる。水谷は「シングルス、団体より、最も金メダルの可能性があるのがミックス」と言い切る。東京五輪の決勝をイメージして戦った、この日の舞台。東京体育館の真ん中に日の丸を掲げることを夢見て、2020年を迎える。

※■は日ヘンに斤、◆は雨カンムリに文の旧字体