初めて踏む「聖地」に胸を躍らせた。開会式での演奏を担当した淀川工科の加島舜晴くん(しゅんせい・1年)は、180人いる吹奏楽部員で唯一の「元ラガーマン」だった。

「いとこがラグビーをやってたので、9歳で豊中ラグビースクールで体験をしました。初めてパスを受けて『やるしかない!』と思った」

楕円(だえん)球を持った初日に、コーチからスパイクを手渡されたのもきっかけで「ラグビーが好きになった。花園にも何回か観に来ていました」と熱中になった。当時の背番号5は誇りだ。FWで体を張ったプレーが得意だった。

今年に入ってラグビー熱がよみがえった。「JAPANの一生懸命なプレー、ひたむきさを見て、ラグビーをやってたことを思い出した。なんだか胸が熱くなった」。高校では音楽に興味を持ち、吹奏楽部のパーカッション担当に。仲間と練習を重ね、この日はシンバルを手に持った。

「みんなで1つの音を出すのと、みんなでトライに向かって1つになるラグビーは似ている。自分はプレーヤーではないけど、憧れだった花園のグラウンドに立てて満足しています」

聖地への熱い思いを、メロディーに乗せた。【真柴健】