部員22人の城東(徳島)に背番号20はいなかった。登録メンバー表は20番を空欄とし、21~23番は1年生。31歳の伊達圭太監督は、苦笑いしながら説明した。

「(20番のジャージーが)Lサイズなので、ぶかぶかになるんです。それで20番の選手がいません」

8人の1年生を除けば部員は14人。ラグビー部ではないが、作家の瀬戸内寂聴さんも卒業した進学校は常に前を向く。春の全国選抜大会ではロックでテニス部の助っ人が先発し、札幌山の手(北海道)と慶応義塾(神奈川)から勝利した。テニス部の青年は「1度(部活を)決めたら最後までやる」とテニスの世界へ戻り、1年生の入学で15人がそろった。人数が足りない時期に養ったのが結束だった。

この日は相手が得意のモールを、作られる前に封じた。組み合わせ決定後には2日間、広島の中国電力へ出稽古。大きな相手の倒し方を磨き、平日の午後6時半からは15人を超えるOBが集まって練習台になってくれた。伊達監督は言う。

「1人が欠けただけでもチーム力は落ちる。いいところは『まとまり』だと思います。今日も寝ている(倒れている)選手がほとんどいなかった。両WTBの1年生も初々しさの中で、やることをやってくれた」

30日の次戦はBシード日本航空石川に挑み、初の年越しを目指す。部員不足に悩む全国の高校へ、その姿が希望を与えている。【松本航】