日本水連の競泳委員長で日本代表の平井伯昌ヘッドコーチ(HC、56)は26日、高校総体中止を受け「選手たちの気持ちを考えるとつらいが、これは致し方ない。大会の開催は試合を行うだけでなく、交通や宿泊もあるのでやむを得ない。スポーツに限らず、若い人が一生懸命に過ごしてきた貴重な1年がこうなってしまって残念です」と話した。

競泳は高校総体以外にも、日本水連が年齢別の全国大会を年2回、実施する。確固たる育成システムがあり、代表クラスは中学、高校の時点ですでに頭角を現していることが多い。平井HCは「今回の中止で影響があるのは代表クラスというよりも次代を担う選手たち。高校3年でグッと伸びる選手もいる。その選手が力を試すところがなくなる」とした。

新型コロナウイルス感染拡大で、危機感も感じている。競泳は64年東京五輪で銅1個と惨敗。学校の部活だけではなく、米国を手本に、スイミングスクールが全国にできて、若年層を育成した。平井HCは「今はスイミングスクールが営業できない。経営が大変。水泳は学校体育だけでなく、社会体育との両輪で伸びてきた。その基盤が大丈夫かどうか。事態の長期化で深刻なダメージがある」と心配していた。【益田一弘】