新型コロナウイルス感染拡大の影響により、各スポーツの公式戦中止が相次いでいる。日刊スポーツでは「輝きを待つ東北魂!」と題し、再開に準備を進めるアスリートを紹介します。4月に学校が統合された宮古商工(岩手)女子卓球部は、宮古商として最後の出場権を得ていた全国選抜大会(3月、千葉)に続き、宮古工と統合した新校名最初となる地元開催の全国総体(8月、岩手)も26日に中止が決定。例年は夏で引退する3年生3人も部活動継続を決意し、高校生活の集大成を披露出来る舞台を信じ続ける。

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「MIYAKO SYOKO」と胸に入った黄色のユニホーム姿で、ラケットを懸命に振った。バレーボール部と並ぶ体育館で、悔しさを振り払うかのように。昨夏の全国総体に出場したエース小野寺美羽(3年)は「選抜は『次はインターハイがあるから』と切り替えられたが、今回は『なんで岩手で開催するのになくなっちゃうんだろう』って…。やっぱり、もっとみんなと卓球がしたいです」。2度も集大成の場を奪われたショックは簡単には拭い切れない。

全国総体中止は26日の練習から帰宅後、ネットニュースで知った。すぐに全6部員のグループLINEで共有。特にクラブチーム宮古ジュニアで小学校から一緒にプレーしてきた3年生3人にとっては、最後の大会が消えた。「厳しい練習や遠征も3人だから乗り越えられた。また試合が出来ると信じて、頑張り続けたい」。例年なら2年生以下で参加する8月末のインターハイ記念大会、11月上旬の岩手県リーグ、来年1月に本戦が行われる全日本卓球の岩手予選などを次の目標に定めた。

小野寺には夢がある。「大学で卓球も勉強もして、将来は指導者になりたいです」。花巻南や一関二などを強豪に導き、昨年赴任した安藤裕之監督(54)に影響を受け「家族みたいに接してくれる安藤先生に憧れました。この悔しさをバネに、いろいろな人間性も磨きたい」と前を向いた。

同監督も「生徒の前で泣くわけにもいかないし、ポジティブな発言をしなくては」と平静を装った。29日から5月6日までの休校措置による部活動停止前の28日には練習後に円陣を組み「(選抜と総体の)2ゲーム取られても3ゲームを取り返すくらいのつもりで頑張ろう」と背中も押した。宮古商工としての初戦に備え、6人の結束はさらに深まっている。【鎌田直秀】