新型コロナウイルス感染拡大で東京オリンピック(五輪)は延期となった。選手が来夏の祭典で獲得を目指す五輪メダル。各競技でどのような歴史が刻まれてきたのか。「日本の初メダル」をひもとく。

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日本のテニス界にとって、五輪のメダルは大きな意味がある。記念すべき第1号は、1920年アントワープ五輪の男子シングルスで熊谷一弥、同ダブルスで熊谷、柏尾誠一郎の獲得した銀メダルだ。そして、そのメダルは、五輪史上初めて日本が獲得したメダルだった。

しかし、テニスは4大大会と五輪の共存の難しさと、プロ化により五輪とたもとを分かつことになる。24年パリ五輪を最後に、正式競技から外れた。復帰したのは88年ソウル五輪からだ。当時の国際テニス連盟(ITF)シャトリエ会長と、ITF五輪委員だった川廷栄一(故人)の悲願が実った瞬間だった。

ただ、復帰後も、日本はメダルから遠ざかった。しかし、前回の16年リオデジャネイロ五輪男子シングルスで、錦織圭が3位決定戦でナダル(スペイン)をフルセットで破り銅メダルを獲得。日本に96年ぶりのメダルをもたらした。

東京では、その錦織に加え、女子シングルスの大坂なおみに大きな期待がかかる。熊谷、柏尾の日本初メダルから1世紀。日本のテニス界悲願の金メダルに挑む。