次期スポーツ庁長官に04年アテネオリンピック(五輪)陸上男子ハンマー投げ金メダリストの室伏広治氏(45)が就任する人事が11日、政府から発表されたことを受け現在、室伏氏が所属する東京五輪・パラリンピック大会組織委員会のトップ、森喜朗会長が6年余りの仕事場での思い出を語った。

「すごいショックもある」と第一声。組織委のスポーツディレクターとして国際オリンピック委員会(IOC)や各国際競技団体(IF)などと向き合い、大会成功に向けて尽力した室伏氏が、大会まで残り1年で抜けることを惜しそうに表現した。

一方で、長官に相応しい人材と太鼓判を押した。「近年のメダリストで最も評価が高い。人柄も非常に謙虚」。64年東京五輪で使用された聖火台が旧国立競技場が取り壊され、東日本大震災の被災地、宮城県石巻市に移設した後も毎年のように同市を訪問し、聖火台を磨き続けた経緯を紹介。

「子どもたちと一緒に磨いていた。本当にオリンピックにとって大事な人。オリンピックの申し子みたいな人。あと1年、一緒にやりたかったけど、この人が長官になれば世の中のスポーツへの興味も集まるし、スポーツの地位向上にもつながる」と絶賛した。

数カ月前、萩生田文部科学相が相談に訪れ、室伏氏を次期長官にしたいと告げられた。「ああ、大変良いことだと思った」。室伏氏には「断ったりはしないように。(長官の)心構えもしておいてほしい。君なら何でもやれる」と内々にエールを送ったという。

来月からは室伏氏が抜け、組織委スポーツディレクターの職が空くことになるが、森会長は「(東京大会において)アスリートの先頭に立たれる役職。本番が近づけばなおさら後任はいた方がいい」との考えを述べた。内部人事か、外部登用かは未定だが、オリンピアンを中心に人選する方向だ。【三須一紀】