東京学館新潟が佐渡に3-0で勝ち、2年ぶり13回目の優勝を果たした。昨年と同じカードになった決勝でリベンジし、“王座”を奪回した。昨年決勝を唯一、先発メンバーで経験しているライト川辺洋介主将(3年)がウイニングスパイクを放った。全国大会は来年1月5日に東京体育館で開幕する。

ラストトスは、ライトの川辺主将に上がった。強烈なストレートのスパイクは、2枚ブロックを割って相手コートで弾んだ。「最後はオレに持ってこい」。セッター川端唯斗(2年)に告げていた要求通りのボール。昨年決勝のリベンジを果たし、2年ぶりの優勝が決まると、フロアに左膝をついて、天井に向かって雄たけびを上げた。

「苦しい時に決めるために、キャプテンを背負っている」と川辺は話した。佐渡に敗れた昨年の決勝を、チームでただ1人先発で経験したメンバー。昨年の決勝後に「佐渡には勝てよ」と当時の3年生たちに勝利を託され、先輩の悔しさを晴らした。「(優勝決定時に)タイムスリップできないかな」と大会前から焦がれていた歓喜の瞬間を主将として味わった。

全国高校総体(インターハイ)は中止になり、国体の開催もなくなった。来年1月開催の全日本高校選手権(春の高校バレー)は本年度、最初で最後の全国大会。それだけに勝利への闘志を最後まで持続させた。第1セットは7-14と先行されながら26-24で奪取。勢いに乗った第2セットは25-22で奪ったが、第3セットの前に川辺はメンバーに声をかけた。「まだまだだからな」と気持ちを引き締めた。川辺も「1秒でも早く勝ちたい」と思っていたが、心の油断も声がけで断った。

大会に備えて取り組んできたのはサーブとブロックの強化。堅実なブロックは相手の脅威になった。川辺は「ディフェンス面をしつこくやりたい」と、「春高」の準備に早くも着手していく構えだった。【涌井幹雄】