FW強化で力勝負に対抗-。ラグビーの23年W杯フランス大会の組み合わせ抽選から一夜明けた15日、キヤノン沢木敬介監督(45)が1次リーグ突破の鍵を日刊スポーツに語った。15年W杯では日本代表コーチングコーディネーターを務め、今回同組となったイングランドのエディー・ジョーンズ監督(60)と共闘。過去最高の8強超えへ、強力FWのイングランド、アルゼンチンとのパワー勝負に備える必要性を強調した。

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日本のD組はエキサイティングで、すごく楽しみな組になった。日本はもちろん全勝を目指すだろうが、真っ先に、アルゼンチンにしっかりと勝って決勝トーナメントへ、と思った。前回以上の成績を残すためにも、成長が欠かせない。

イングランドはテストマッチを知り尽くしたメンバーがそろい、軸がぶれない。6日のオータム・チャレンジカップ決勝を戦った先発15人に、昨秋W杯決勝の南アフリカ戦先発が12人。若い第3列が力をつけ、ジョン・ミッチェル・コーチはシンプルだが、組織で統一した防御を作っている。

アルゼンチンは18年にレデスマ監督となり、一体感を感じる。FWに強力なリーダーシップを持つ選手がそろい、間違いなく力がある。FWはスクラムでニュージーランド(NZ)も押した。前回のアイルランド、スコットランド以上に、エディーのイングランドも、アルゼンチンも、日本に対して間違いなくフィジカル勝負を挑んでくる。モールも含めて、パワーに対抗する強力FWを、日本も作らなければいけない。

日本がこの1年間でテストマッチを組めていないのは、ハンディになる。国内で活躍できても、国際レベルなのかは見極める必要があるからだ。一方で過去の対戦成績は関係ない。対戦相手が2年9カ月も前に決まったのもプラス。正しい方向に強化することで、チャンスはある。

新型コロナウイルスの影響もあり、今の時点では何とも言えない部分が多い。全体を見て1つだけ言えるのは、開催国のフランスは間違いなく、いい方向に向かっている。昨秋のW杯でガルティエ監督と話したが、今の自国にあったオリジナルのシステムを考えていた。6日のイングランド戦黒星も、メンバーは控えチームのようなもの。その選手たちの活躍を引き出すのは、いいコーチにしかできない。NZと同じA組だが、脅威的な存在になる。(トップリーグ監督)

◆沢木敬介(さわき・けいすけ)1975年(昭50)4月12日、秋田・男鹿市生まれ。秋田経法大付(現ノースアジア大明桜)高-日大を経て98年にサントリー入り。SO、CTBとして活躍。06年から6年間サントリーでコーチを務め、13年にU-20(20歳以下)日本代表監督に就任。15年W杯では日本代表コーチングコーディネーター(CC)として南アフリカ戦勝利に貢献。16年にサントリー監督就任。16、17年トップリーグ連覇。20年はスーパーラグビー「サンウルブズ」でCCを務め、6月にキヤノン監督就任を発表。