2連覇を狙う早大(関東対抗戦2位)が帝京大(同4位)との再戦を33-27で制し、2年連続で決勝(11日、東京・国立競技場)に駒を進めた。ラインアウトモールと伝統の展開ラグビーで計5トライを奪い、11月の対抗戦(45-29)に続いて難敵を退けた。

    ◇    ◇    ◇  

覇者早大が、フィジカル自慢の帝京大を真っ向から返り討ちにした。3点を追う前半6分、ラインアウトからのモールで押し込み、フッカー宮武がインゴールに体ごと預けた。1点差に迫られた同24分にも同じ形だ。ゴールラインを割るまで押し切り、再び宮武がトライした。スクラムこそ手を焼いたものの、モール守備は完璧。足をつり交代するまで体を張ったNO8丸尾主将は「Bチームの選手がやってくれた対策が生きた」と一丸星を強調した。

12月6日の関東対抗戦で明大に14-34で完敗。13年ぶりの全勝Vを阻まれた一因はラインアウトのミスだった。転機となり、この1カ月で修正。確実なボール保持からのモールでは「密着と会話」を再確認した。形成したら全員で密接して推進力を高め、先頭の選手には手応えを聞いて押す方向を調整。この日は「賢太(プロップ小林)が行けると話して、同じ方向に『押し』を集めた」と副将のロック下川。全集中で帝京大の強力FW陣を粉砕した。

前線が優位に立てば次は看板戦略だ。密集からの展開でバックス陣が3トライ。FB河瀬が「(空いた)スペースを突けた」と個人技で2本に1アシストと水を得れば、昨季花園を制したスーパールーキー伊藤もランでマークを分散。2戦連続の先発で起点になった。帝京大に6点差まで迫られたものの、狙い通りの攻撃が生きて逃げ切り。今年も国立切符をつかんだ。

一方でこの日、首都圏の知事が政府に緊急事態宣言の発令を要請。9日後の決勝に影響を及ぼす可能性も出てきたが、変えることはない。相良南海夫監督は「行政に従うしかないが(4年生など)時間に限りがある学生のために何とかできる方法はないか」と望み、丸尾主将も「あると信じて努力するだけ」と2連覇へ備える。相手は借りがある明大ではなく天理大になったが、焦点は自軍。コロナ禍の1年の取り組みを、大学日本一になった時だけ歌える「荒ぶる」をまた響かせて証明する。【木下淳】