01年度以来の優勝を狙った学生王者関学大が、社会人の壁に屈した。18-35でオービックに敗戦。18年5月に起きた日大の「反則タックル」を受けたエースQB奥野耕世(4年)は、現役生活に別れを告げることを表明。

試合では攻撃を組み立て、パスで計153ヤードを稼ぎ、ラストゲームを締めくくった。オービックが7年ぶり8度目の日本一。対戦成績は社会人が12連勝で26勝12敗となった。

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試合終了と同時に奥野の目から涙があふれた。この試合を最後に、競技生活を終えると決めていた。「小1から16年間やってきた。ついに終わってしまったのか。寂しさもあるし、不自由なくアメフトをやらしてくれた両親に、感謝の気持ちです」と語った。

「反則タックル問題」から約2年半。仲間や家族に支えられ、社会問題にまで発展した事態を乗り越えた。今季はオフェンスリーダーとしてチームを引っ張った。大村和輝監督(49)が「2年生のときは、フットボール大好き少年という感じ。精神的に浮き沈みが激しかったが、今季はすごく安定している」と評価するまでに成長。昨年12月13日の甲子園ボウルは因縁の日大と対戦。自身の活躍で42-24で破り、東京ドームへの切符を手に入れた。

試合は関学大の奇襲から始まった。開始直後にオンサイドキックでボールの奪取に成功。奥野は、相手の強力DL陣を前に速いリリースで12ヤードパスを成功させ、先制点のお膳立てをした。8点を追う第2クオーター(Q)でも見せ場があった。RB三宅昂輝(4年)の84ヤード独走ランで2点差に。勝利への希望をつないだが、後半に立て続けにTDを奪われた。

18、20年と2度の年間最優秀選手賞(ミルズ杯)を獲得した奥野は「大学は特に濃い時間を過ごした。学んだことを生かして社会で活躍したい」と語った。山あり、谷ありの4年間。同世代最高QBが、現役生活に別れを告げた。【南谷竜則】

◆奥野耕世(おくの・こうせい)1998年(平10)6月20日、大阪・池田市生まれ。小1から「池田ワイルドボアーズ」で競技を始めてQB一筋。関西学院高から関学大に進み、2年から主力。18、20年にミルズ杯を獲得。171センチ、77キロ。